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設計部に配属され、半年も経たないうちに難物件やダメ上司等いろいろな障壁にブチ当たり悪戦苦闘の日々を過ごしていました。


そんな中、中田設計部長に高層ビル最上階にあるダイニングバーに呼び出されヤナ予感がします。。(^^;)


ダイニングバーで告げられた人事とは?

、という事で、高層ビル最上階にあるダイニングバーに倉本課長と足を踏み入れました。




奥の一段上がった席に中田設計部長が見えました。

私たちに気づくと、


<中田設計部長>
「お~っ!倉本課長にトラジロウ君!
忙しいところスマンね!まあ座って。」


、と笑顔で席に誘導されました。


<中田設計部長>
「今日2人を招いたのはね!
実はいい知らせがあるんだよ!」


いい知らせってなんだ?、、またどこかに異動?


と思いながら


<私、>
「良い知らせって異動ですか?
私はまだ設計部に来て半年ですよ?」


、と、ちょっとケゲンそうな感じで言うと、


<中田設計部長>
「実はトラジロウ君に企画総合研究部に行ってもらおうと思ってね。
企画総合研究部の広瀬部長も君の事は何となく知ってるみたいで好印象みたいだし。。
あそこの部署はエリート集団だから将来有望だよなあ!
現場監督も設計部も企画総合研究部も全部経験したらすごいよね!」

エリート籍集団の企画総合研究部

解説しますと、企画総合研究部は別名住宅総合研究所とか言ったりします。

ここはいわゆるシンクタンク的な部署です。

そこの所員は、ほぼ全員がキャリア籍のエリート社員が占めています。


私のような所轄籍社員が行ったというのは聞いたことがありません。。


ブッチャケぜんぜん行きたくありません。。

なので、すかさず私は


<私、>
「中田部長!私は設計部に来てまだ半年です。
設計を経験した内に入りません。
あそこは高学歴のエリート社員しかいないし、、
そもそも研究部門なんて叩き上がりの所轄籍の私には無理です。
勉強嫌いの私にはズット研究室に閉じこもって建材の成分の分析研究なんて全くムイテません。
勉強が出来る学術的な能力のある適材適所な人材を考えたほうがいいと思います。」




驚いた表情で私を見つめる中田部長を横目に私は続けました。




<私、>
「中田部長は将来有望だとおっしゃいましたが、
私は入社ルートが企画総合研究部の人たちと違うので給料も変わりません。
有望とか出世とかも全然関係無いし興味もありません。」




私のストレートなモノ言いに間に挟まれた倉本課長は終始アタフタしていました。

そして中田設計部長は不機嫌そうに、


<中田設計部長>
「何を言ってんだ!そもそも所轄籍ってなんだよ!
自分を卑下するな!頑張ればいいじゃないか!
企画総合研究部に工事設計技術部門出身者が行くなんて普通は喜ぶだろ!」




いい加減に頭に来た私は、




<私、>
「中田設計部長!今工事設計技術部門出身者といいましたよね!
それを我が社では所轄籍と言うんです。
ウチの会社のオカシイ所は
入社時の籍がずっとツイテくるということです
私の給料とキャリア籍の社員とでは同期入社でも相当な格差があります。
企画総合研究部は現段階で、おそらく私のような所轄籍、、
、いや、工事設計技術籍の社員は一人もいません。
なので私がたった一人そこに入ったらどうなると思いますか?
同僚たちと一緒に飲みに行ったりも出来ません。。
そもそも人種が違うんですから。。」


この異動で


私の籍が所轄籍からエリート籍に転籍になる


ということはありません。

当時私が在席していた大手ハウスメーカーでは、このような理不尽で不可解なことが多々ありました。

激論は深夜まで。。

その後も中田設計部長と私の激論は3時間以上続きました。

間に挟まれ終始無言だった倉本課長が、


<倉本課長>
「中田部長、、もう遅いですし、、
そろそろ終わりにしませんか?。。」


<中田設計部長>
「倉本課長は先に帰ってくれ!
遅くまで悪かったね。いや、ホント帰っていいよ!
俺はトラジロウとまだ話しするから。」




、とはいうものの帰れる訳もなくそのまま3人の夜は続きました。




<中田設計部長>
「おいッ!トラジロウ!
オマエ結構ハッキリ主張するんだな~。
温厚な奴かと思ってたけど。。
いやっ、、ケナシてる訳じゃないよ!
工事と設計は何かと衝突したりして仲悪かったりするけど、、
オマエは設計部でも評判良かったもんな。
若手や新人たちも設計のミスなのに工事のオマエに助けられたってよく言ってたぞ。」


<私、>
「誤解のないようにハッキリ言っておきますけど、
お金が全てだとは思ってません。
ただ、、大手企業で終身雇用年功序列的な我が社では、
給料体系を筆頭に理不尽なことが多いと言いたいんです。
全く同じ仕事をしていても入社ルートののおかげで一生格差があったり
優秀社員が損してダメ社員が得したり
私の異動だって単純に動かしやすいからですよね!?」




、という感じで私の独壇場になってしまい、

中田部長も倉本課長も呆気に取られてしまっていました。

私は当時から、


言うべきことはそれなりに主張し真実に背を向けないと決めていました。


さらに私は続けました。


<私、>
「私が現場監督当時、設計部の新人や若手社員を気遣ったり協力したりしたことに理由なんてありません。
私がそうしたいと思ったからそうしたまでです。
でも、、結果、今はそんな彼らに助けられたりしています。」


<中田設計部長>
「、、オマエのスタンスは良く解かった。。
確かにそうだな。。
みんな意外とサラリーマン気質だから俺が何か言ってもオマエみたいにイイ意味で食らいついてきてくれないんだよ。。
それはそうとして、、実は、、
設計部から誰か企画総合研究部に来月異動させなきゃいけないんだ。




<私、>
「なんだ~、そんなの早く言ってくださいよ!
高橋さんでいいじゃないですか?
そもそもキャリア籍で東大卒ですしね!」

キャリア籍の人は設計部では大苦戦!?

高橋さんとは、年次は私より2年先輩で人柄も良く東大卒のキャリア籍の社員です。

以前解説しましたが、当時工事部(施工管理部)の現場監督でエリート籍の社員は一人もいませんでした。

しかし東京設計部では全部で30人位の設計グループの中に中田設計部長を含めて5~6人位のエリート籍の社員が存在していました。


他の20数名は私と同じ所轄籍です。。


奇妙なことに、高橋さんを含む高学歴のエリート籍の人たちは設計部では大苦戦を強いられていました。。

前回のCPR1-➄話を読んでもらうと少し分かってもらえるかと思いますが、、

建築の設計はグレーな部分が多くいわゆる1+1=2にならないことが多々あります。

なので柔軟に考えたり、とりあえず仮決めしておいてドンドン進めていかなければならなかったりします。

しかしキャリア籍の高橋さんたちは、我々所轄籍なら、


「こんなの無理だろ!とりあえずテキトウに数字をブチ込んで進めてけッ!」


、と、ドンドンすっ飛ばして進めていくところを、、

まだ何も決まっていないのに完璧な資料や図面を作ってしまったりしていました。。

結局、役所から承認がおりなかったり、お客さんから変更を言われて全てやり直しになってしまうことが多々ありました。


これではいくら時間があっても足りません。


おそらく東大卒の高橋さんは、子供の頃からテストでは100点しか取ったことが無いので、仕事でも当然本能的に100点を取りにきます。。

しかし、そもそも建築設計は明確な答えが無いし、変わったりもするので100点という概念自体存在しません。。

なので歯車が狂ってしまっているんだと思います。。

要はイイカゲンでは無く、、

いい意味で良い加減な部分が無いと建築の設計は出来ないのです。

決してテキトウという事ではありません。

こだわるところはトコトンこだわりグレーな部分や細かく計算しても無駄なところはアタリを付けてテキトウに進めていかなくてはなりません。。

高橋さんを適材適所な企画総合研究部へ

、という事で、

高橋さんは温厚で一所懸命なイイ人だったので私は常にかわいそうだと思っていました。


<中田設計部長>
「え~、、高橋がいいんじゃないかって!?
でもアイツ、この前ちょっと話したんだけど、、
今は設計部で苦戦してるけど絶対に成果を出すってヤル気マンマンだったぞ!」




<私、>
「中田部長、、察してあげてくださいよ。。
そんなの社交辞令に決まってんじゃないですか!
設計部長に面と向かって設計は向いてないから異動したいですって言えないですよね?!」




<中田設計部長>
「えッ!、、そうなの!?、
やっぱり俺って本音でしゃべってもらえないタイプなのかな~。。」




<私、>
「まあ、、そうでしょうね。。
ちょっとクールで強面だし、頭もすごくイイですしね。
好き嫌いよりも全てを見透かされそうで、、
私も正直苦手でしたよ。。
今日ビッチリお話しさせてもらったんで今は全然大丈夫ですけど。
高橋さん、自分には設計は向いてない、、
企画総合研究部に行きたいって言ってましたよ。。
あっ、!ヤバイ、、余計なこと言っちゃった。。
高橋さんには絶対に内緒にしておいてくださいよ!」




<中田設計部長>
「トラジロウ、、ありがとう。。
そうかあ、、でも全然わかんなかったな~。。
部下に本音で話してもらえないって俺もダメだなあ。。」




その日は結局終電が無くなってしまい中田部長からタクシー代をもらって帰りました。。

高橋さんとのランチ

数日後に、突然高橋さんから声を掛けられました。


<高橋さん>
「トラジロウ!ちょっと早いけど昼飯行かないか!」

、ということで、まだ空いているトンカツ屋で二人で昼飯を食べました。




<高橋さん>
俺、今度企画総合研究部に異動になったんだ。。
もしかして、オマエ、、何か中田部長に言った!?」




<私、>
「えっ。。!?、いやっ、何も言ってないっす。(*_*;」




<高橋さん>
「いや、、いいよ。。良かったよ。。
俺に設計部はホントに向いて無いし苦痛だったから。。
企画総合研究部には仲のいい同期もいっぱいいるし、、
とにかく嬉しいよ。明日の朝礼で発表だって言ってたけどオマエにはその前に話しておきたくてね!」




実際、高橋さんはメチャクチャ頭が良くて(東大だし、)学者や研究者っていうタイプの人でした。

このまま設計部で埋もれて苦戦しているよりも実力を存分に発揮できる部署で活躍すべきだと思っていました。

ところで、、転職してくる人が少ないということは離職率が低いとも言えます。

なので弊社は転職者などの中途入社が多数の会社よりも良いのかもしれません。。


私もブログではいろいろと書いてはいますが、、


総合的に考えるとこの会社に約8年間在籍したことは良かったし財産だったと思ってます。(^-^)


ということで、まだまだ私の設計部奮闘記は


次回>>第7話【好感度№1営業マンの光と影】に続きます!(^_-)-☆




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