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一般的に企業は、成長期で波に乗って上昇している時は順調で問題無いことがほとんどです。

しかし、規模が拡大して成熟産業となった時が、実は一番の過渡期だと言われています。

私がかつて在籍していた大手ハウスメーカーも完全成熟期に突入し、いろいろと不具合を感じ始めてきた時の話です。


社内掲示板に貼られた一枚の通知書

設計部の業務にも慣れ、社内でも中堅設計マンとして従事していたある日のこと、

共用ホールの方がやけに騒がしいので行ってみると、、




大規模組織改革について

○○株式会社 代表取締役 大丸豪造(仮名)

~ 中略 ~

昨今の住宅事情は変革期を迎えており、我が国の住宅着工棟数も年間150万戸を維持し続けることは考えにくい。

今後は、スクラップandビルドを脱却し、ストック事業への大幅なシフトへ、ライフサイクルコストにおける、、、

~ 中略 ~

ついては、年内に抜本的な我が社の構造改革案を検討し、1月1日より新組織を構築すべく、当通知書により事前告知をするものとする。

先だって、人事異動に関しては、別途各グループエリア長宛に通知する。

~ 以下略 ~

といった分かるようでようで分からない通知文が貼られていました。

スクラップandビルドからの脱却:ストック事業への変革

今回で言うスクラップandビルドとは、単純に

新しい家を建て、それを壊してまた建てて、、

の繰り返しのことです。

当時住宅産業は花形産業で、新聞を開くと華やかな住宅展示場のチラシが沢山入っていた時代でした。

しかし、私が設計部在籍中にはそんな住宅産業も少しずつ陰りが見え始めていました。

日本の年間住宅着工棟数が安定的に150万戸前後を保っていけるのか?

ゆくゆくは200万戸を突破してハウスメーカーは盛況となるか?

住宅の品質も急速に向上し築20数年の家をドンドン建て替えていく時代じゃない?

日本の人口自体も減少していくため住宅産業の先行きが厳しいことは明白でした。

口には出さなくても微かな不安を皆が抱いていたことは事実でした。

不可解に波及する人事異動

そんな中、間髪入れずに人事異動が発表されました。

驚いたことに、東京の営業部は23区と23区外の2グループがあるのですが、

半数以上の営業マンを入れ替えるという無茶苦茶な人事異動でした。

住宅の営業マンは基本は地域に根付いているので、そんな事をしても全体の営業数字が好転する訳はありません。

これも密室で行われた上層部からのトップダウンで決ってしまった負の遺産だったと思います。

※結論を言いますと、数カ月後の東京営業部の営業数字は激減しました。。(^^;)

さらに驚いたことに、、

「なんだ!トラジロウ!今度は設計2課へ異動だな!あそこは北島課長だから厳しいんじゃないか?!」

、と本条主任に声を掛けられ、

「えっつ!、ホントですか?!」

と掲示板を見に行くと確かに私の名前が載っていました。

う~ん、、テキトウ課長とズレ係長の特販設計課はイマイチだけど。。

部署が変わるのもまた面倒くさいよな~。。

ていうか、、俺って異動多くね~か?


2課は北島課長かあ~。。

どうなんだろう?

優秀で寡黙で猛牛とか言われてるけど。。

実際に一緒に働いてみないと分かんないよな~(-_-;)

そもそもトラとかライオンなら分かるけど、、

猛牛ってすごくニュアンス掴みずらいんだけど(-_-;)


、と、いろいろと考えさせられてしまいました。。

猛牛の異名を持つ設計2課長

という事で、、

早速設計2課の北島課長に挨拶に行きました。

<私、>
「北島課長、来月からお世話になります。
よろしくお願い致します。」

すると北島課長は作業している手を休めることもコッチを見ることも無く、、

相変わらず机上を凝視したまま、、

<北島課長>
「おうッ!よろしく!
ところでトラジロウ!
オマエもう新人じゃねえよな!?
今回の人事異動で設計2課は6人になっちゃったし、
2人はまだ新卒入社から1,2年の新人で簡単な物件しか出来ない。
だから難しい物件もVIP物件もオマエにバリバリやってもらうからな!」

<私、>
「ハッ、ハイ!、、とっ、とにかく頑張ります!」

と答えたものの、、




う~ん、いつになったら落ち着けるんだろう。。

、、また大変そう。。(-_-;)

と、少々意気消沈していました。。


当時の執行部は営業マンを増やせば受注が上ると考えていました。

そのため設計部や工事部から営業を引抜き我々技術系の人数を削って営業の比率を増やす方向でした。

ただでさえ激務でパンパンな設計部からも、2人営業に持っていかれたため、北島課長の言う通り先行きが超不安でした。。

信頼出来る良い上司とは?

翌月より設計2課に異動して北島課長の隣の席になりました。

北島課長は猛牛の異名の通り、一切無駄口を叩かず鋭い眼光で常に机上を見つめ黙々と仕事をする人でした。

同じフロアで設計部の飲み会でも一緒だったので全く接点が無かったわけではないのですが、、

実際に部下として仕事をしてみて良い意味で私の予想は外れました。

初めて正統派な良い上司の下になったと思えるような人でした。

知識も経験も豊富なので、質問をすると直線かつ簡潔に教えてくれます。

なので何かあっても大丈夫な安心感がありました。

激務に追われる日々は相変わらずでしたが精神的には大分楽でした。

北島課長は体育会系出身で怒ると怖い人でしたが、、

嫌みが無くサッパリしていて部下から大変信頼されていました。

適度な良い緊張感を持って2課の社員は仕事に集中することが出来ました。

私が思う良い上司の第一条件は、

これをやったら怒られる、こうすれば怒られない

というスタンスがキッチリと示されている人だと思います。

もちろん

知識と経験がある、

教えるのがうまい、

オゴッテくれる、、

とか、、

いろいろ言い出したらキリが無いですが。。

上司が帰らないと帰れない、よく説教される、理不尽に怒る、上層部にペコペコする

などといった上司は最悪です。

前上司のテキトウ課長のように分かりやすく適切に教えるとまた質問されて面倒くさいから、

本当は能力があるのに今後自分に質問してこないようにワザと分からないように教える。

というのは言語道断です。

なので北島課長は総合的にバランスの取れた良き上司でした。

同じ2課の新人2人とも仲が良かったので忙しい合間をヌッテ飲みに行ったり麻雀したりしていました。

ようやく安住の地に辿り着いたような充実した日々を送っていました。

束の間の平穏な日々

設計2課に異動して早3か月、

新卒入社から約7年で始めて少し落ち着いた平穏な日々を送っていました。

設計部の人数が減らされ設計マン一人当たりの仕事量は増加しました。

さらに2課は新人が2人いるため特殊物件や難客は私と北島課長が主に担当していました。

しかし働く環境や人間関係が良好だと不思議と仕事も円滑に回っていったりします。

当時の設計2課は非常にチームワークが取れた最高のチームでした。

しばらくはこの良い状態を保って自分のスキルアップを図りたい!

と思っていた矢先、、

急遽緊急全体会議が開かれることになりました。

本部ビルの大会議場に、

営業、設計、工事、管理、インテリア、エクステリア、アフターサービスなど全部門の社員が集結することになりました。

そこで来年1月からの大規模組織改革の詳細が発表されるということになりました。


次回>>第➉話に続きます。(^^)/






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