今まで私が仕事をしてきた中で思い出に残っている人は何人もいます。
尊敬する人、苦手な人、お世話になった人。。
いろいろと頭に浮かんできます。
今回は、私が設計部時代で最も印象深かった東京エリア長と、ある設計マンの話です。
剛腕エリア長就任
4月の期初から新しいエリア長が東京第1グループに就任しました。
当時、東京営業部は第一と第二の2グループ制となっていました。
設計部で言うと、設計一課と私の所属する特販設計課が、この東京第1グループでした。
ちなみに設計二課と特殊物件設計課が東京第2グループでした。
新エリア長に就任した大沢(仮名)エリア長は、営業時代は関西でバリバリのトップ営業マンでした。
しかし、、その独裁的で強引な手法は当時から有名で、
設計や工事の技術部門社員を奴隷のようにコキ使い、
営業数字の為には手段を選ばないマシーン
の異名を持っていました。
前部署では部下の営業マンを何人も辞めさせたり、うつ病などで会社に来れなくなった社員もいました。
当時は今と違ってパワハラが住宅業界では横行していました(^^;)
しかし社内で評判が悪く嫌われていても、営業成績だけはダントツに良かったのと、非常に攻撃的で恐れられていたため、関西営業部では誰も彼に意見する者はいませんでした。
そんな大沢エリア長が東京に来るとウワサになった時から、営業を始め我々設計部や工事部、、
全ての社員が恐怖を感じていました。。
何だかんだ言っても、これまで東京営業部では、そういうパワハラ独裁者のような上司やエリア長はほとんどいませんでした。
大沢エリア長就任第一回目の全体会議
大沢エリア長は就任初日の朝礼で、夜7時から全体会議をやると突然言い出しました。
早速社員は困惑しました。。
いきなり初日から、、
しかも皆予定があるのに強制的にです。。
その夜、七時から急遽開催となった大沢エリア長就任第一回目の全体会議で
大沢エリア長
「今までの東京のやり方では絶対に営業数字は上がらない。
抜本的な改革が必須と考える。
設計や工事の技術部門は営業成績を上げようという気が全く感じられない。
自分さえよければ良い、自分だけ楽しようと思ってる人間は排除する!
これからは全員が一丸となって営業支援を念頭に取り組んでもらう!
異論がある者は私の所まで直接来るように!」
これはヤバイ、、(-_-;)、と、全員が凍りついたかのように静まり返っていました。。
営業、設計、工事の異なる休日設定
大沢エリア長の独裁効果で社内の雰囲気は一変してしまいました。
ちなみに休日の設定は、ハウスメーカーの場合、営業はお客さんとのやり取りがあるため、
原則は、火曜日、水曜日休み(土日に打合せが多いため)
となっていて、
設計と工事の技術部門は
原則は、水曜日、日曜日休み(土日休みのハウスメーカーもあります)
という設定になっていました。
そうは言っても、一般的にお客さんは土日休みの人が多いので、
営業同行、もしくはお客さん対応で、土日が出勤になることもシバシバありました。
そういった場合は、
必ず代休を取るように!
、と、会社的にはなっていましたが、
通常の日は仕事に追われてしまっていて代休など取れるハズがありませんでした。。
もちろん代休を取れなかった場合の休日出勤手当も一切無かったので、
休日に出勤をした場合はサービス出勤
というのが当たり前になっていました。(-_-;)
怒涛のイベントラッシュ
大沢エリア長は、月に数回の、
設計・現場監督による住宅が丸ごと解るセミナー
入居後のお客様お宅拝見、工事中現場見学会
さらには自社プレカット工場と併設して建設された群馬県の
テクニカルフォーラム見学会
など、さまざまなイベント開催を有無を言わさず強引に計画し、
その全てに我々設計マンを参加させるという無茶苦茶な企画をしてきました。
もちろん各種イベントは土日祝日に開催されます。
当時、こういう強引なムチャ振りは、どこの住宅メーカーでも大なり小なりあったと思います(^^;)
営業支援という名の暴挙によって疲弊した東京第一グループ
大沢エリア長就任から3カ月が経過。
休日を返上してのイベント参加や大沢エリア長からの恫喝等で東京第一グループの社員たちは徐々に疲弊していきました。
大沢エリア長は、常に営業支援を盾に、偽りの正義を振りかざし、休日イベントに不参加だった社員を呼びつけては、
「オマエ、営業支援わかってねーな!
今の時代は営業だけじゃなくて設計も全員一丸となってやってかねーと会社潰れちまうんだぞ!
オマエだけよければソレでいいんだな!
そういう非国民的な発想するんなら俺も徹底的にヤルから覚悟しとけよ! 」
などと、長い時は一時間以上も徹底的に罵倒し続けたりすることもありました。
営業支援を振りかざしての恫喝は相当な圧力と恐怖感がありました。
特にイベント不参加だった社員は、みんなの前で徹底的に怒鳴られ続けました。
さらに決裁書や各種書類等の承認印を押さず、脅しや嫌がらせ等、日常茶飯事でした。
孤高のカリスマ設計マン
当時の設計一課には、剣崎(仮名)係長という設計部13年のベテラン設計マンがいました。
彼は大変寡黙な優秀設計マンで、難物件や特殊物件などオモイ物件を常に担当していました。
あまり喋らないクールな二枚目でしたが、私も含め、皆から信頼されていました。
東京第一グループの社員たちは、完全に独裁的かつ威圧的な雰囲気に飲まれてしまい、大沢エリア長のイイナリとなっていました。
私も毎週休日を返上して、営業支援と称した各種イベントに参加しまくっていました。
そんな中、剣崎係長だけは、休日出勤をして大沢エリア長の企画した各種イベントに出ることは一切ありませんでした。
大沢エリア長も、剣崎係長の実績や、その寡黙で風格のあるオーラを警戒してか、剣崎係長に文句を言ったりすることはありませんでした。
ついに大沢エリア長の怒号が炸裂
日曜日にテクニカルフォーラム見学会を控えた金曜日の朝一に事件は起きました。
唯一、大沢エリア長に従わず前述の見学会を今回も不参加と表明した剣崎係長。
ずっと敬遠してきた大沢エリア長がついに牙を剥きました。
机に座って黙々と作業する剣崎係長の席の前に立ちはだかると、
大沢エリア長
「おいっ!剣崎!、、テメエ、どんだけ仕事出来るつもりか知らねえが、、また欠席か?!
みんな頑張って参加してんのに、テメエだけ営業支援しねえで、、自分だけ休みたいんか!?」
剣崎係長
「、、、、、、、、。」
大沢エリア長
「オイッ!コラッ!何とか言えよ!
テメエ!、、いい加減調子に乗りやがって!
この会社で働けなくしてやっからなあッ!
、、おい!!無視してんじゃねえゾ!何とか言えよ!」
~ その後も延々と激高し続ける大沢エリア長 ~
10分ほど経って、ついに剣崎係長が、
剣崎係長
「日曜日は行けない。」
、、とつぶやくと、、
大澤エリア長
「あ~ッ!!何だと~!偉そうに行けないだと!
テメエッ!ホントッ!覚悟しろよ!
わかってんのか~、コラァ!!」
~ その後も発狂し続ける大沢エリア長 ~
狂ったように激高する大沢エリア長には見向きもせず、
黙々と作業を続ける剣崎係長。。
設計部フロア全体は緊張感で最高潮に凍り付いた状況でした。
誰一人として二人の方を見る者はいませんでした。
、、しかし、、
全ての社員は二人の動向に耳をそばだてていました。
その後も大声で怒号を浴びせ続けた大沢エリア長が、
大沢エリア長
「何で、日曜日出られねーんだ!答えろ!」
と言い放った瞬間
今まで黙々と作業をしていた剣崎係長が、
突然手を止めて立ち上がりました。
そして、、、
静かに重い口を開きました。
剣崎係長
「娘と約束があるから。」
、そう言い放つと、その場をゆっくりと立ち去って行きました。
残された大沢エリア長は、、
呆然と立ち去っていく剣崎係長の後姿を見つめていました。
季節外れの人事異動
それから約一か月後、
大沢エリア長は、以前のような勢いは無く、威圧的なオーラで社員を罵倒したりすることも無くなりました。
休日を返上しての各種イベントも月一回程度と大幅に削減されました。
社員の間では、それを素直に受け止められず、
「何か大きな病気でも宣告されたのではないか?」
「パワハラで誰かに訴えられているのでは?」
などと、様々なウワサが飛び交っていました。
そんな中、突然の人事が発表されました。
10月1日付 異動
大沢 正樹
現役職:東京営業部東京第一エリア長
新役職:北関東営業部 北方展示場店長
剣崎 隆一
現役職:東京営業部東京設計一課係長
新役職:甲信越設計課係長
この発表を見て、社員は騒然としました。
悪の限りを尽くしてきた大沢エリア長の左遷は当然としても、、
なぜ剣崎係長まで異動なのか?!
後で聞いた話によると、あの時剣崎係長が
「娘と約束があるから。」
と放った一言は、単にその言葉の通りであって
何か意図してそのような返答をした訳では無かったようです。
日曜日は愛娘と遊ぶ日と決めていたのでしょう。
そこがまたカッコイイですよね。
伝説のサラリーマン
今でもこの不可解な人事の真相は解りません。
あの日の夜、
剣崎係長と大沢エリア長が2人で話しているのを見た、、
人事部が、大沢・剣崎両者から事情を聞いていた?
、、など、当時いろいろと噂はありましたが。。
誰もが恐れる大沢エリア長に対して眉一つ動かさず
たった一言で勝負を決めた剣崎係長の姿は
今でも私たちの記憶に鮮明に刻みこまれています。
ハウスメーカーや建設関連企業では、当時からパワハラや激しい怒号が飛び交うなど日常茶飯事です。
少々時代錯誤なところは確かにあります。。(^^;)
そんな理由からか、、
転職・就職を検討する人たちにこの業界は人気がありません(^^;)
なので、建設関連企業は常時人手不足です。。
いい加減に時代錯誤なそういったブラックな部分を改善してクリーンな業界へ変貌を遂げてほしいと願っています。
転職、再就職活動をしている私は、もう建築住宅関連業界に戻りたいとは思いません。。
でも、、そんな厳しい環境の中で
20年以上働いてきたということは誇りに思ってます。(^-^)
私も剣崎係長のように多くを語らずとも発信力のある存在になりたいと思います。(^_-)-☆
次回>>大規模組織改革へ続きます!
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