こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第100話からの続きです。
黒沢様は一つだけ言い忘れていたことがあると言ってきました。
そして裏庭に誘導されるとそこには大きな納屋がありました。
なんと柳沼主任はその納屋の解体撤去を無償で行うと約束していました。
その納屋にはゴミがパンパンに詰まっていました。
その解体とゴミ処分で50万円くらいかかると思われました。
追加か?サービスか?
私の頭の中はパニック状態になっていました。
いったいどうするべきなのか?!
当初の予定金額500万円のまま工事を請ければ、、
予想最終利益率は15%ほどです。
我が社は歩合給率の高い会社です。
基本給が低く歩合給が高い給与体系になっています。
本来この500万円の工事が規定利益を確保して工事完了した場合、
およそ30~35万円の歩合給が入ります。
しかし最終利益率が20%を切った場合は歩合給はゼロになります。
リフォームに限らず新築住宅などでもこういったルールは当然あります。
なぜなら契約を取るだけで歩合給がもらえてオトガメ無しであれば、
本来500万円で契約しなければ利益率が確保できない
にもかかわらず、
歩合給狙いで400万円で契約してしまう営業マンが頻発するでしょう。
当然ながら値段を安くすれば契約率は上がります。
なので本来であれば私は黒沢様に、
「追加で50万円頂かないと納屋の解体とゴミ処分はできません。」
と言わなければなりません。
しかし、、
営業マンの方なら私の気持ちをわかってもらえると思いますが。。
現状の私は窮地に追い込まれています。
営業成績(営業数字)で。。
私の個人営業成績はここ数カ月で一度も目標達成出来ていません。
さらに東京西営業所の営業成績も全店舗内で最下位争いの位置にいます。
長井所長が東京西営業所の代表ですが、、
私も所長代理という立場で長井所長と同等の責任を負うことになっています。
なので、もし黒沢様邸の500万円が解約になると、
給料減額、始末書提出、役職降格、本社呼出し、、
ほか、あらゆるマイナスを食らうことになります。
私は黒沢夫婦を前にしたまま呆然と立ち尽くしていました。
しばらくして、、
<黒沢ご主人>
「あの~、、真山さん!、
大丈夫ですか?、、」
われに返った私は、
<私、>
「ああっ、、!
すみません。。
ちょっと考え事をしてしまいました。。
大丈夫です。。」
どっちがマシなんだろう。。
どっちもヤバイけど。。
私が頭を悩ませていると、、
<黒沢ご主人>
「今回、いろいろなリフォーム会社に聞いたんですが、
この納屋の解体処分だけは皆さん厳しい顔をしてました。
50~60万円くらいかかるって言ってました。」
<私、>
「たしかに、、そうですねえ。。
特に最近、産業廃棄物処分に関する法律も厳しくなりまして。。」
<黒沢ご主人>
「ただ、、本当に私たちはお金が無いので、、
柳沼さんがこの納屋の解体処分も込みで500万って言ってくれたんで、、」
<私、>
「そうですよね?!
わかりました。
柳沼が弊社の社員としてそうお約束した以上、
この納屋の解体処分も込みで500万円でやりましょう!」
私はその時、
気が付けばそう答えていました。
<黒沢ご主人>
「わかりました。
これだけは正直ネックでした。でも、、
これも含めて500万円のままなら解約せずにお願いしようと思います!」
ということで、、
私は解約を免れる方をとりました。
しかしここから新たな悩みが生まれました。
今回の黒沢邸が完了すれば利益率が低いことがわかってしまいます。
もちろん私は自分の歩合給のことは諦めています。
所長代理が降格になっても全然かまいません。
だって、、
平社員で契約をバンバン取る方が我が社ではお金を稼げますから。
そうは言っても始末書を書かされて本社に呼びだされたり、、
高額リフォーム契約で低利益の場合は様々なペナルティーがあります。
あ~あ、気分が乗らね~よなあ。。
黒沢様の祖父が再来月老人ホームへ入所します。
それまでの期間は工事をしないでほしいと言われました。
そのため工事開始まで2か月以上空けることになりました。
私はすこしホッとしました。
少しでもこの件を先延ばしにしたかったからです。
先延ばしにしたって結果は同じですが。。
開示された驚愕の不正受注顧客リスト
それから10日ほどが経過しました。
柳沼主任とは相変わらず連絡が取れません。
というか、、
もう無理だと思ったので私はここ最近は電話をしていません。
柳沼さんは一体どこで何をしているのでしょうか?
私は午前中ずっと事務処理をしていました。
<長井所長>
「オイッ!トラジロウ!
ちょっとミーティングルームで打合せするぞ!」
<私、>
「えっ、?!
昨日営業会議ありましたよね?
何のミーティングですか?」
<長井所長>
「いいから来いっ!!
ミーティングルームの中で話すっ!」
よくわからないまま、、
私は長井所長の後に続いてミーティングルームに入りました。
中に入ると長井所長は机に座り鋭い眼光で私を睨んでいました。
<私、>
「ちょっと何なんですか?!
いきなり厳しい顔されても困るんですけど。。」
<長井所長>
「オイっ!、トラジロウ!
柳沼のこと何か知らね~か?」
<私、>
「いやっ、、まったくわかりません!
こっちが知りたいくらいです。
柳沼さんがいなくなって引き継いだお客さんのこととか、、
私も知りたいし話したいですよ。」
<長井所長>
「そうか、、まあオマエも大変そうだな。
ちょっとコレを見てみろ!」
と言って長井所長は一枚の紙を机の上に置きました。
A4用紙に顧客情報が20~30件ほど羅列されていました。
<私、>
「長井所長、、なんですか、コレ?
お客様情報を並べたリストのようですが。。」
<長井所長>
「これは柳沼が今まで不正受注した案件リストだ!
ただし、これはアイツが会社に内緒で自分で請けたことが確定している客のリストだ。」
私は驚きました。
<私、>
「長井所長!、、こっ、、これって、、
彼はこんなに沢山の工事を自分で請けてたんですか?」
<長井所長>
「そうだ!ヤツは懲戒免職になった。
もちろん未だに連絡は取れていない。
今、弁護士も含めて入社保証人である実家に対して訴状を作っている。」
私はギョッとしました。。
<私、>
「そっ、訴状って。。
柳沼さんの両親を訴えて損害賠償を払わせるってことですか?」
<長井所長>
「そうだ!
来週準備が出来次第、まずはオマエが柳沼の実家に行ってこい!
わかったな!!」
マジかよ、、絶対行きたくね~。。
何でオレが借金の取立てしなきゃいけね~んだよ。。
次回>>102話に続きます。
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