こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第101話からの続きです。
長井所長に呼び出され、一枚の顧客リストを見せられました。
それは柳沼主任が自分で工事を請けた顧客のリストでした。
ザッと30件くらいの顧客が載っていました。
柳沼主任がこんなに多くの不正受注をしていたことに大きなショックを受けました。
身元保証人と訴状と損害賠償
ショックを受けたまま立ち尽くす私に、
<長井所長>
「ヤツは懲戒免職になった!
もちろん未だに連絡は取れていないが。。
今、弁護士も含めて身元保証人である実家に対して訴状を作っている。」
<私、>
「えっ?!、、訴状?って?。。
柳沼さんの両親を訴えて損害賠償を払わせるってことですか?」
<長井所長>
「そうだ!
来週準備が出来次第、まずはオマエが柳沼の実家に行ってこい!」
、、というのが前回までの話しですが。。
しかし、、
どうであろうと絶対に行きたくありません。
あの柳沼さんが何十件ものお客さんを、、
会社に内緒で自分で工事していたなんて。。
本当にこんなに何十件もの客を自分で請けていたんだろうか?
私は信じられませんでした。
いずれにしても、、
柳沼主任の実家に損害賠償を請求しに行くなんて。。
絶対に行きたくありません。
数日後、
長井所長と柳沼主任の件で再打合せを行いました。
結局わたしは柳沼さんの実家にまずは一人で乗り込むことになりました。
ここで今までの経緯を簡単に説明します。
弊社は入社時に身元保証人が必要です。
これはもし社員に何かあった時に責任を取るための保証人です。
会社によって入社時に保証人が必要なところとそうでないところがあります。
我が社新光クリエイトに関しては保証人が必要でした。
柳沼主任がこのように不正受注をたくさんしてしまった以上、
さらに現在音信不通で今後の展開が見込めない以上、
身元保証人になっている実家のお父様にその責任を取ってもらうということです。
しかし、、
その取立て役を任されるとはマジで最悪です。。
めちゃくちゃイヤな気持ちで一杯です。。
あらためて私は柳沼さんのことを思い返していました。
オレにとってはすごくイイ人だったけど。。
まさか柳沼さんの実家にオレが損害賠償を請求しに行くとは。。
しかし悩んでいてもどうしようもありません。
会社のルールでそうなっているわけですから。。
しかも東京西営業所は長井所長と私が責任者になっています。
ということで、
私は重い気持ちのまま、、
柳沼さんの実家に車で向かいました。
私はここ数カ月めちゃくちゃハマっていました。
柳沼さんの件もそうですが、
ここ数カ月で3人ほど転職してきた新人が全員辞めてしまったため、
その後始末であったり、、
部下の同行だったり、、
クレーム対応だったり、、
とにかく自分の営業数字どころではありませんでした。
あ~あ、、所長代理ヤメて一営業マンに戻りて~なあ。。
最近の私の頭の中はいつもそんな感じでした。
いっそのこと、この会社を退職して転職活動をしようか?
と思ったほどです。
役職手当はあるものの、、
我が社は歩合給率の高い会社ですから、
何もシガラミの無い一般社員でバリバリ契約を取った方がイイわけです。
精神的にも営業数字的にも。。
でも、まさか自分から
「平社員に戻りたいです。」
なんて言えるわけもなく。。
そうこうしているうちに、
柳沼さんの実家の前に到着しました。
壊れそうなボロ家と悲壮感漂う父
柳沼さんの実家の前に立った私は唖然としました。
そこには吹けば飛びそうな古い木造のボロ家が建っていました。
えっ、?!ここが柳沼さんの実家?
すごいボロ家なんだけど。。
インターフォンのようなものもありませんでした。
ここに住んでいる人に損害賠償を請求しても、、
果たして払えるんだろうか?
もしかして生活保護とか受けてたりするんだろうか?
私はいろいろと考え込んでしまい、
しばらくの間、柳沼主任の実家の前でたたずんでいました。
本当にイヤな役どころです。
しかしいつまでもここで立ち止まっているわけにもいきません。
意を決して私は入口の木戸を空けようとしました。
しかし、、
なんだっ?!、この木戸固くて開かね~ぞ。。
柳沼さんの実家の入口の木戸が硬くてボロくて、、
なかなか開けることが出来ず悪戦苦闘していました。
そんなこんなでガタガタやっていると、
「誰だっ!何をしてるんだ?!」
と、中から誰か出て来ました。
60代くらいの悲壮感漂う男性でした。
すごいシャガれ声でヤツレテいる感じでした。
おそらくこの人が柳沼さんのお父さんだと思われました。
<私、>
「あっ、、はじめまして。。
すみません、突然、、
私、新光クリエイト株式会社の真山と申します。」
<柳沼父>
「ああっ?!、、新光クリエイト?
押し売りなら帰ってくれよ!
ご覧のとおり、金なんてね~んだからよ!」
<私、>
「あっ、、イヤっ、、
柳沼大介さんの働いている会社のモノです。
柳沼さんのお父様ですよね?」
<柳沼父>
「ああ、そうか!
大介の会社の人か!
息子の転職した会社のことも知らね~なんてダメですなあ。」
<私、>
「そうなんです。
思い出していただけてよかったです。
大介さんの会社のモノですが。。」
私はその後の言葉に詰まりました。
なぜなら、いきなりこの雰囲気で、
「息子が不正をしたから損害賠償を払え!」
とは絶対に言えません。。
しかし、
<柳沼父>
「でも、、なんで大介の会社の人がココへ?
何があったんですか?」
と不思議そうに聞いてきました。
<私、>
「ええと、、実はですねえ、、
大介さんが会社のお客様を内緒で自分の客にしていまして、、
何と言いますか、、その~。。」
するとお父さんの表情が一変しました。
<柳沼父>
「大介が何をしたか知らね~が!
アイツは去年離婚してからすげえ変わっちまって、、
もう以前の大介じゃねえっ!!
いろいろなところに迷惑かけてるんだ!
とにかく大介のことはもう知らん!!」
劣化のごとく怒りだしました。
この状況で損害賠償の話しなど到底出来るはずがありません。
しかし感情が抑えられずトップスピードに乗った感じのお父様は、
<柳沼父>
「ふざけんな!!
大介とは縁を切った!
そんな話は聞きたくないし関係ない!」
と叫びながら私の胸元を強く押して木戸の外に押し出しました。
あまりの迫力に圧倒され言葉の出ない私。。
やがて完全に敷地の外に押し出された私に対して、
<柳沼父>
「もう来るなっ!!
アイツの話しなんて二度と聞きたくない!」
ガチャッ!!
、と、、
古くて建付けの悪かった木戸をものすごい力で閉めました。
しばらく私は茫然としたまま立ち尽くしていました。
どうしよう。。こりゃあヤバいぞ。
まともに話しが出来る状態じゃないけど。
次回>>第103話に続きます。
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