こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第109話からの続きです。
問題の年老いた現場監督が転職してきてから一週間が経過しました。
文句を言っても仕方ないので私は彼を必死で指導しました。
しかし吉川さんが一人前の現場監督になるとは思えませんでした。
そんな中、私の現場に入っている市川大工から怒りの電話が入りました。
混乱する高額リフォーム現場
<市川大工>
「オイッ!、トラさんよお、、
あのジイサンいい加減に何とかしろよ!
この現場終んね~ぞ!
今週末でオレは次の現場に抜けるからな!」
普段温厚な市川大工が本気で怒っていました。
あわてて私は、
<私、>
「どっ、どうしたんですか?!
市川さんがそんなに怒るなんて。。
吉川さんが、、
何かしでかしたんですか?」
<市川大工>
「もう何もかもが全然ダメだ!
そもそも電話だってろくに出ね~しよお。。
自分から話をしね~からコッチから部材確認とか聞いてやって、、
何でオレがこんなに現場の段取りを気にしなきゃいけね~んだよ!
部材の発注、工程管理、納まり確認。。
それって本来は現場監督の仕事だろ!」
市川大工の怒りが収まる様子はありませんでした。
よっぽど吉川監督がヒドかったんでしょう。
しかし今週末には一階の大工工事が完了しないと工期が間に合いません。
そうなったら大クレームになってしまいます。
この浜口邸は現在入院中の祖母様が来月の末に退院して帰ってきます。
なので来月末の引渡しは必須です。
現在、特に大工さんの確保が難しい状態です。
しかもこの浜口邸は難易度が高く市川大工のような優秀な大工でないと対応できません。
とりあえず私は市川大工をなだめました。
<私、>
「市川さん、大変申し訳ない。。
とにかく今から現場に行きますんで。。
現場で話しをさせてください!」
<市川大工>
「とにかくオレはトラさんが現場監督じゃなかったらもうヤラナイ!
あのジイサンじゃあ現場が収まらね~!
マジでヤベ~ゾ、アイツ。。」
ということで私は浜口邸へ急行しました。
現場に到着すると吉川監督が黙ってたたずんでいました。
その吉川監督には目もくれず、、
相手にもせず、、
もくもくと作業を続ける市川大工がいました。
私は市川大工に話しかけました。
<私、>
「市川さん、申し訳ない。。
とりあえず少し打合せさせてもらえないですか?」
すると市川大工はあきれた表情でこちらを振り返り、
<市川大工>
「トラさん、、マジで終わった。。
これはマジで本当にヤバいぞ!
今週末で現場終んね~からな。
アイツ、マジで全然ダメだぞ!」
そんな中、吉川監督は一切言葉を発せず、、
黙って下を向いていました。
<私、>
「えっ、?!、、
一体どうしたんですか?
何か問題があるんですか?」
すると市川大工は前に置いてある内装ドアなどの建材を指さしました。
多発する発注ミスと工期遅延
<市川大工>
「それ見てみろよ。
ドアの見込みが110mmで入ってるぞ!
マンションじゃね~んだから。。
ここは木造の一戸建てだから155mmじゃなきゃ収まんね~だろ!」
一般の素人の方にはちょっと難しい話しなのでサラッと流してほしいのですが。。
ようするにプロの現場監督だったら知っていて当り前の、、
初歩的なミスをしているということです。
私はすぐにドア枠を確認しました。
たしかに110mmの幅の枠で発注されていました。
これではドア枠は納まりません。
即急に再度発注をかけなければなりません。
しかし、、
そうすれば余計なロスコストが発生して利益率が下がります。
さらに今更発注しても部材が入荷するのは来週です。
その時にはもう市川大工は他の現場に行ってしまっていてアウトです。
当時(今でも)大工の確保が厳しく工事をしてくれる大工を探すのは大変困難です。
その他にもいろいろな問題が発覚しました。
わかってはいましたが。。
やっぱり吉川監督は相当ヤバイです。。
そんな私と市川大工のやり取りを黙って見ている吉川監督に向かって、
<私、>
「吉川さん。。
どうしてこんな発注ミスをするんですか?
吉川さんは現場監督の経験もあって建築士も持ってるんですよね?
だから弊社の現場監督として転職してきたんですよね?」
すると吉川監督はゆっくりと顔を上げて、
<吉川監督>
「スミマセン。。」
と一言そう述べました。
全く話しになりません。
私は心底恐怖を感じました。
高額の歩合給が無くなるのも死活問題ですが。。
それこそ引き渡しが間に合わなくなったら一大事です。
私は胃の奥に鈍痛を感じました。
ヤバイ。。胃潰瘍になりそう。。
その後、現場でいろいろ打合せをしました。
打合せを終えて帰りの車中で私はいろいろ考えていました。
一体どうしたらいいんだろう。。
でも吉川さんをクビにするわけにもいかないだろうし。。
いくら考えても答えは出ませんでした。
営業所に戻った私は事務処理をしていました。
なんだか疲れてしまい、、
早めに終わらせて今日は帰ろうと思っていました。
すると、、
19:00過ぎに営業所の電話が鳴りました。
他に所員が見当たらず私が電話に出ました。
<私、>
「お電話有難うございます!
新光クリエイトのトラジロウでございます!」
すると電話口の相手は現在リフォーム中の浜口様でした。
<浜口様>
「ああっ!、トラジロウさん!
さっき娘から聞いたんだけど。。
なんか現場監督がダメな人で引渡しが間に合わないって。。」
<私、>
「ええっ、娘さんが?
どうしてそれを?!」
<浜口様>
「今日、トラジロウさんたちが現場で話していたのを娘が聞いていたんです!
そもそも私たちもあんな頼りないオジイさんが、、
私たちの家の監督だなんてすごく不安だったんです!
今回のリフォームは祖母の退院記念ってことがあって決断したんです!
間に合わないじゃすまされませんよ!
とにかく絶対に終らせてくださいっ!」
と、ものすごい剣幕で捲し立てられました。
私はその時、あまりの圧力に押され、、
なすすべもありませんでした。
もうヤダ。。転職したい。。
マジで疲れた。。
来月末に引渡しなんて絶対に間にあわね~。。
でも間に合わなかったら全てが終わる。。
次回>>第111話に続きます。
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