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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第108話からの続きです。

遂に渦中の現場監督が初出社してきました。

我々の淡い期待も虚しくその現場監督は、

ブカブカのスーツを着た頼りない老人でした。

私は恐怖と不安で頭の中がいっぱいになりました。




年老いた現場監督

しかも私の唯一の大型現場である浜口邸にその現場監督が就くことになりました。

これは大変厳しい状況です。

この浜口邸は請負金額1300万円の高額案件です。

しかも超難易度が高く工事着工まで6ヵ月もかかりました。

そんな苦労も虚しく、、

強制的にこの年老いた現場監督を就けられて、


30%もの歩合が取られてしまうわけです。


これはあまりにも理不尽です。

しかし会社員として企業に属していれば多少の理不尽はあります。

これ以上なにか言っても始まらないので私はその吉川監督と現場に行くことにしました。

私も所長代理として新人を教える責任があります。

東京西営業所の監督として彼が就任してしまった以上、

まずは私がしっかり必要事項を教えて他の所員の混乱等を防がなければなりません。


私と吉川監督は車で現場にむかいました。


浜口邸までの道中およそ30分ほどでしたが、

吉川監督は終始目を細めたまま、


眠っているような体調が悪いような、、


ほとんど会話をすることも無く現場に到着しました。


この日は大工の着工日でした。


なので本日の解体範囲や部材納入のタイミングなどいろいろ打合せがありました。

弊社のメイン大工の一人、市川大工が我々に気付くと、


<市川大工>
「トラさん!おはようっ!
今日はこの和室を全部解体しちゃうよ!
そんで下地の状況とか見て今後の方針を考えてくよ!」


<私、>
「そうですね!
今日はまず解体してもらって状況をみましょう。
この現場は高額で難易度も高いんで市川さんに入ってもらって良かったですよ!」


<市川大工>
「またまたあ、、
ほんとトラさんはウマいよなあ。。
難しい物件っていうと何だかんだでオレにやらせてよお~。」


<私、>
「いやっ、マジで市川さんは私の切り札ですから!
ホントに頼りにしてますよ!
会社に内緒ですけど難物件手当てを少しでも出すようにしますからね!」


<市川大工>
「ハイハイッ!
わかってますよ!
トラさんにお願いされたんじゃしょうがねぇなぁ。。」


といった感じで現場は和気あいあいと好感触でした。

初日ということで他にも設備屋と電気屋も打合せのため現場に来ていました。

そういったこともあってかなり賑やかな状況ではありましたが、、

しかし吉川監督は、


一言もしゃべらず黙って同じ場所に立っていました。


そんな吉川監督に気づいた市川大工が私に近寄ってきて、


<市川大工>
「トラさん!
、、ところであのオジイさん誰ですか?」


と不思議そうに聞いてきました。

電気屋と設備屋もその言葉に反応して作業をする手を止めました。

私は黙って突っ立っている吉川監督に向かって、


<私、>
「吉川さん!ちょっとこっちへ来てください!
大工さんや設備屋さん、電気屋さんに紹介しますんで!」


と言って手招きしました。

すると吉川監督はゆっくりと我々のほうに向かってきました。


首を左側に傾けて左足を引きずりながら、、


その姿はあきらかに健常者とは思えないような雰囲気でした。

そして私は横に来た吉川監督の肩に右手をのせて、


<私、>
「今日から東京西営業所の現場監督になった吉川さんです!
まずはこの現場でいろいろ覚えてもらいます。
じゃあ、吉川さん!自己紹介してください。」




すると吉川監督はゆっくり業者の方を向いて




<吉川監督>
「ヨシカワデフ。
ゲンバカントクトシテハイリマシタ。
ヨロシクオネガイシマフ。」




<大工・電気・設備業者一同>
「、、、、、。。。。。」




市川大工をはじめ他職人含めて6~7人が何も発せず、、


シーンと静まり返ってしまいました。


彼の独特のオーラに圧倒されたんでしょう。

まあ、、

無理もありません。。

歪められた歩合給制度の行方

ところで、、

我が社はナゼこの老人を雇ってしまったのでしょうか?

私も人の悪口は言いたくありませんが、、

しかしさすがに厳しすぎます。

言葉もハッキリと喋れないこの老人にリフォームの現場監督は任せられません。

なにかあれば全て私の責任になってしまいます。

何よりも彼が介入してトラブルになる可能性大です。

弊社は利益率が一定割合低下すると


営業の命である歩合給が無くなります。


いろいろと考えただけでも背筋が凍る思いです。

悲観的にばかり考えていても仕方が無いのはわかっています。

しかしどんなにプラス思考で考えてみても、

僅かな光すらその時の私の脳裏に見出すことは出来ませんでした。




結局、その後も吉川監督と現場の職人たちが話すことは無く、、

というか職人たちは即座に彼のことを見切った様子でした。

この人に何かを言っても無駄だと感じたようでした。

その後、私は現場でいろいろと吉川監督に引き継ぎ及び指導を行いました。

長井所長から、


「現場監督に現場は任せてオマエは他の仕事しろよ!」


と、強く言われていました。

それは当然のことです。

何しろ30%も現場監督に給料を取られるシステムに強制的に変更されてしまった訳ですから。。

その分、他に契約を取って稼がなくてはなりません。

しかし、、

これはあくまでも安心して現場を任せられる現場監督と組んだ場合です。




夕方、事務所に戻った私は長井所長に詰め寄りました。




<私、>
「所長っ!、ちょっといいですか?!」




私の圧力に押された長井所長は、




<長井所長>
「、えっ、?!
、じゃあミーティングルーム行くか?」




、と言ってミーティングルームに入りました。


そこで私はいろいろと吉川監督について聞き出しました。


<私、>
「長井所長!
いくらなんでもあれは酷すぎますよ!
現場を任せられないです。
確実にトラブルになります!
なぜあの人を採用したんですか?
もし何かあって私の歩合給が無くなったらマジでオレ辞めますよ!」


私の圧力に最近は押され気味の長井所長は、


<長井所長>
「まあ、今回はARTコンサルの改革案で現場監督を導入すべきとなったんだ。
だけどなかなか良い人材がいなくてな。。
でも会社で決めた以上は全営業所揃って現場監督を一斉に導入しろ!
ってことになってしまったんだ。
結局、建築士を持っていて経験者っていうのが彼しかいなかったんだ。」


<私、>
「良い人材にめぐり会うまで待てばいいじゃないですか?
無理矢理あんな老人入れたらヤバイに決まってるじゃないですか!」




しかし長井所長にいくら愚痴を言っても状況は変わらず。。


それから一週間ほど経ったある日、


私の携帯が鳴りました。

市川大工からでした。


<市川大工>
「ああっ、トラさん?!
あのさぁ、、この現場工期通りに終わんね~ぞ!
オレ、次の現場があるから予定通り来週末で抜けるからな!」




えっ?!メチャ怒ってるけどナゼ?


もし終わらずに抜けられたら全てが終わる。。




次回>>第110話に続きます。

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