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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第19話からの続きです、

大手住宅メーカーを退職し、現在のベンチャー企業へ転職してから6か月と3週間が経過。

今月は新人ノルマである月間契約金額300万円の達成は、ほぼ不可能な状態です。

これから契約になりそうな物件は、全て最終の来月に託して最後の望みをつなぐしかない背水の陣となってきました。

そんな中、上田営業マンのOB顧客のお宅を訪問しましたが。。




変わり果てたOB顧客と対面して衝撃を受ける上田営業マンと私

玄関から出てきたOB顧客の小橋さん(仮名)の姿をみて私たちは思わずギョッとしました。

激やせして頬もこけ落ちるほどの病的な様子に言葉を発することが出来ませんでした。



<小橋さん>
「久しぶりですね、上田さん。使わない和室を洋室にしてリビングと一体に改装して大正解です。
おかげで孫が来ても窮屈にならずに快適に過せてますよ!
大変満足です!」


、と、小橋さんはやわらかく微笑みました。


<上田営業マン>
「こちらこそ気に入って頂いて嬉しいです。
あれから一年ほど経ちましたが何かお変わりありませんでしたか?」


すると小橋さんは家の中へ招くしぐさをしながら


<小橋さん>
「まあまあ、、立ち話しも何ですからお二人とも中へ入ってください。」


ということで私と上田営業マンは小橋さんのお宅へ入りました。

OB顧客を私に紹介した上田営業マンの真相

<小橋さん>
「まあ、、お二人ともそこへ座ってください。
何か飲み物を用意しますね?
甘いものはお好きですか?
我が家はもらいものが多くて高級な洋菓子とかいろいろあるんですよ!
上田さんは甘いのお好きでしたよね?」


<上田営業マン>
「いつもおいしいお菓子を有難うございます。
じゃあ今日も遠慮なく頂きます!」


そのやり取りを見た私は思わずビックリしてしまいました。


えッ!!上田さんって甘いの全くダメじゃなかったけ?


上田さんは体重100キロ以上の巨漢で糖尿病のウワサもあり、甘いモノは大の苦手として営業所内では有名でした。


<小橋さん>
「トラジロウさん!コーヒーにお砂糖とミルクは要りますか?
我が家のコーヒーは本当においしいって評判なんですよ!」


私はコーヒーは大の苦手です。あんなマズイ液体が何でおいしいんだろうと常に思っていました。

なのでコーヒーは何年も飲んでいません。。

小橋さんの私へのセリフから考えてコーヒーは飲める前提で話しをしていることはあきらかです。


俺みたいにコーヒー飲めない人もいるんだけど。。


しかし上田営業マンに見習って、、


<私、>
「本当ですか!それではもちろんブラックでお願いします!
本来の香りをそのまま頂きます!」


<小橋さん>
「やっぱりそうですかッ!
何かトラジロウさんってコーヒー通な感じがしたんですよね!
じゃあ今落としますから少しお待ちくださいね!」


、、ていうか、コーヒー飲む前提で聞かれたら営業マンとしてはこうなるわな。。


上田さんも普段寡黙だけどやっぱ営業マンなんだなあ。。


その時上田営業マンはさりげなくこちらを向いて目配せをしてきました。

そんな上田営業マンに私もわずかな微笑みで返しました。

オトコ上田劇場開演!

苦手な洋菓子を頬張る上田営業マンと苦手なコーヒーをすする私。。

しばし時間が流れた後、小橋さんが話し始めました。


<小橋さん>
「いや~、、上田さんから突然電話を頂いてビックリしましたよ。。
でも上田さん、、どうしたんですか?
確かに私は一年前に工事してもらった後、キッチンとお風呂の工事を次はやりたいと言いましたが。。」


、、私はちょっとビックリしました。。


なぜなら上田さんのOB顧客から今回の工事依頼があって私にこの案件を譲ってくれたと思っていたからです。

すると上田営業マンが、


<上田営業マン>
「本当に申し訳ありません。。
実は緊急に契約が欲しかったこともありまして、、
小橋さんは同じ営業マン出身ということもあって私にいつも共感してくださいました。
もちろん工事する必要が無いお客様にこんなことを言ったらおかしな話ですが、、
以前の工事完了の時に、
キッチンとお風呂の工事も上田さんにお願いするから上田さんの良いタイミングで声をかけてください
とおっしゃってくださいました。
まさに今日がその良いタイミングの時でしたので訪問させて頂きました!」


<小橋さん>
「、、なるほど。。
でもそういうブッチャケたところは正に上田さんだね~!!
私も営業マン出身で数字を常に意識して生きてきた人間だからそういうトコロには共感しちゃうんだよね~!
じゃあ今月は優秀営業マンの上田さんがそれほど厳しい状況に追い込まれているってことなんだね。」


すげ~。。ストレートにブッチャケちゃってるよ。。


でもオレの数字になるのに大丈夫なんだろうか。。


<上田営業マン>
「ありがとうございます。
、、実は今日同行している私の部下のトラジロウにどうしても数字を付けてやりたかったんです。
小橋さんだからお話ししますが、弊社は大変厳しい営業ノルマがございます。
彼は大変実力があり人柄も良く私もすごく応援してはいるのですが、、
いかんせん契約は「縁とタイミング」というところもございまして。。
しかし彼は運にも巡り合わせにも恵まれず、次月でノルマ達成しないと大変なことになってしまうんです。。」


えッ!!いつからオレって上田さんの部下になったんだろう。。


上田営業マンは役職者ではありません。

もちろん私は部下ではありませんが、トークの流れでそうなっていることに気づき私も同調して神妙な面持ちであいづちを打っていました。

すると、、


<小橋さん>
「さすがッ!オトコ上田ッ!
部下の数字のために一肌脱いで自分の顧客に頭を下げてお願いする。。
そういう一直線なところが我が家でもヒットしてるんだよねえ。
じゃあいいですよッ!
もちろん相見積もりとか取るつもりもありません!
だからといってボッタくらないでくださいよ!」


<上田営業マン>
「当然そのようなことはございません。
弊社はお客様から必要以上の利益を頂くようなことは致しません。
特に小橋さんはビップとして考えておりますので規定値ギリギリの金額でやらせて頂きます!」

気になるOB顧客の激ヤセの真相は?

ということで、さすが上田営業マンです。

オトコ上田劇場炸裂で契約が決まりました。

その後、現場調査及び必要個所の採寸などを行い、見積書のフォーマットに手書きで項目を全て書き出しました。

何と、上田営業マンはわずか一時間程度で現地調査から見積りまで全て完成させました。

そして小橋さんへ書き上げたばかりの見積書を差し出しました。


<上田営業マン>
「小橋さん。それではこちらが今回の見積り書です。
お風呂とキッチンの商品はこちらのカタログでご説明致します。


と言って、車に常備しているカタログを持ってきて該当するキッチンやお風呂などの住宅設備品を一つずつ説明しました。


<上田営業マン>
「ただいまご説明しました内容で今回の契約金額は税抜き200万円とさせて頂きます。
もちろんビップ顧客である小橋さんは特別価格でのご提示になっております。」


すると小橋さんはニッコリ笑って


<小橋さん>
「さすが上田さん!本当に早くて適確ですね。
部下思いなところもスゴク私はグッときました。
それではその金額でお願いします。」


しばし和やかな空気が流れました。

しかし、、


<小橋さん>
「ただし上田さん。私の現在の姿を見ればわかると思いますが、、
私は今重い病気と闘っています。
私にもしものことがあった場合は解約できるという旨を契約書の備考欄に記載してもらえますか?」


ようやく契約になったのも束の間、またしても不安要因が発生しました。

小橋さんの重い病気とはいったいどんな病気なのでしょうか。。

次回、小橋さんの病名が明らかになります。

>>第21話に続きます。

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