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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第39話からの続きです。

超高額案件の積算・見積りなどの作業をするのに2週間ほどかかりました。

そして2800万円のお客様提示見積書が完成しました。

もちろん見積書だけではなく図面や仕様書、さらには業者の打診・確保など、、

あらゆる面でここ2週間は休む間もなく働きました。

私が転職してきたこのベンチャー企業は外交員報酬制度の給料体系となっています。

そのため歩合給に依存する割合が大変高い訳です。
(基本給15万だが未達成だとさらに8万に下がる)

仮に今回の2800万円の工事が無事完了すると、

約200万円の歩合給を獲得出来ます。

しかし、パワハラ長井所長から呼び出されイヤな予感が。。




高額案件を理由に係長同行を告げられ。。

<長井所長>
「オイッ!トラッ!ちょっとこっちへ来い!」

突然長井所長から呼び出されました。

<長井所長>
「お前の高額案件の松本邸はどうなった?
ここ2週間くらい松本邸のことイロイロやってただろ?」

<私、>
「とにかく一生懸命頑張りまして、、
明日の商談に間に合うように見積りや仕様書などの資料は何とか作成しました。」

<長井所長>
「今回の松本邸は新人で大型工事もやったことがないオマエには荷が重い。
だから深野係長を付けて2人の同行案件にする。
わかったな!、それだけだ!」

その時私の脳裏にイナズマが走りました。。

なぜかというと、

深野係長との同行案件になってしまうと歩合給が2分割されてしまいます。

すなわち、工事完了後の歩合給が

200万円もらえるはずが100万円になってしまう。

、というわけです。。

私はすかさず、

<私、>
「長井所長、、待ってください。。
確かに私はこの会社に転職してきてからは実績が無いかもしれません。
しかし今回の松本邸に関してはここ2週間で私の知人関連から様々な情報を得て何とかここまで持ってきたんです。
契約後スムーズに工事着手出来るように業者も予め確保したりしました。
なので私一人でやらせてください!」

<長井所長>
「何だと!、ふざけるな!
テメーッ、なめてんじゃねーぞ!
オマエみたいな新人が一人でやって何かあったらどうする?!
これは命令だ!深野係長と同行でやれっ!」

、ということで、

ここまで全て私一人で苦労してやってきたものの、、

明日の契約商談には深野係長が同行することになってしまいました。。

リフォーム見積りのカラクリ「盛り返し」とは

そして迎えた松本邸の最終商談の日。

私と深野係長は同じ車で松本邸に向かいました。

この深野係長は前回登場した伊沢課長とは違って温厚でのんびりしたタイプです。

わからない事があると丁寧に教えてくれる親切な人でした。

しかし深野係長はもともとはITエンジニアだった人でこの会社に転職してまだ2年半。

私よりも約2年だけ先輩です。

異業種からの転職で来たわけですから建築全般は私の方が詳しいわけです。

<深野係長>
「いや~、、トラちゃんはさすがだね~。。
こんな鉄筋コンクリート造の全改装工事なんて。。
俺には想像もつかないよ。。
今日は余計なこと言わないで黙ってすわってるよ!」

ということで全然頼りにならない感じでした。。

松本邸は東京西営業所始まって以来の超高額案件なわけです。

そのため長井所長が役職者を同行に付けることに関して全く理解出来ない訳ではありません。

しかし私一人で全て苦労しながらやってきたわけです。

私が長井所長の立場だったらそんな私に何かしらの配慮をすると思います。

それが正しい上司の在り方ではないでしょうか?

、、愚痴を言っても始まりませんが。。(^-^;

やがて私と深野係長は松本邸に到着しました。

松本実家邸の中に入り応接室のソファーに座りました。

少しすると隣の松本息子邸から松本さんの息子さんが来て商談が始まりました。

<松本息子>
「トラジロウさん、深野さん。
本日はお約束通り2週間で見積りなどお持ち頂きありがとうございます。
他社さんは1カ月とか、、あとは何回も見に来たりとかでウンザリしましたが。。
トラジロウさんはさすが建築に精通しているだけあってすばらしいです!」

、と滑り出しは好調でした。

その後も図面をもとに改装前改装後や見積り・仕様書の説明など。。

約2時間以上にわたり今回の工事内容や金額の説明をしました。

その間、深野係長は借りてきたネコのように静かにほほ笑んだまま終始言葉を発しませんでした。

最終段階で遂に見積り金額2800万円を提示すると、

<松本息子>
「いやあ、、待ってください。。
思ったより高いですね、、
他社さんはもう少し安いんですが。。
これについては何か理由があるんでしょうか?」

<私、>
「弊社は適切に原価積算を行い規定の粗利率を算出して金額を決定しております。
しかしながら今回の松本様邸に関しては大変難しい工事です。
なので工事が始まってからでないとわからない事項も出てくることが予想されます。
弊社は長年の経験からそういった見えにくいコストを適切に算出しています。
他社さんはそういったことを考慮せずお風呂やキッチン交換のような通常工事同様の積算をしている可能性があります。
その場合、後から追加金額を不可抗力事項(見積時に発見不可能な事項)として請求される場合が多いです。」

<松本息子>
「えっ、、そんなことがあるんですか?
一番安いと思って契約したら後から追加請求されて、、
結局は当初の他社さんと同じ金額になってしまうとか。。」

<私、>
「はい。おっしゃる通りです。
契約前に低い金額を提示して契約をさせて後から追加で請求する。
これを業界用語では盛り返しと言っています。」

<松本息子>
「それは詐欺ではないのでしょうか?
プロにお願いして正式に見積りを出してもらって契約しているのに。。
後で追加請求で盛り返しなんて。。」

<私、>
盛り返しは主に2種類あります。
一つは、契約を確保するために意図的に安い見積りを提示する。
そして契約後に不可抗力事項として追加請求をする悪意ある盛り返し。
もう一つは、知識や見積り技術が無いため原価算出が甘く結果安い見積りになってしまう。
しかし工事着手後に会社の規定利益率が確保出来ないことに気づき盛り返しせざる負えないケース。」

<松本息子>
「なるほど。。確かに見積りに来た担当者で
この人本当に大丈夫なんだろうか?
と思った人もいましたね。
実際何社か相見積を取れば、一番金額の安い会社にまずは目が行きますよね?」
じゃあトラジロウさんの会社は盛り返しは無いってことですか?」

超高額案件の工事請負契約成るか?

<私、>
「もちろんです。
弊社がそういった盛り返しをする業者であれば、
自らこのような話しをすることはございません。
弊社は懸念事項の部分も原価に参入しております。
なので、若干他社様と比較して高いと感じられるかもしれません。」

その後も私は松本さん一家に住宅リフォーム業界のカラクリ話などいろいろと話しました。

そして最後に、

<松本息子>
「トラジロウさん、深野さん、
少し15分ほど時間を頂けませんか。。
今日お二人はお車ですよね?
大変申し訳ないのですが家族で少し話したいんです。」

<私、>
「承知しました。
それでは一旦席を外させて頂きまして車で待機させて頂きます。」

と言って私と深野係長は車の中で待機することになりました。

その車の中で、、

<深野係長>
「トラちゃんさあ、、
松本さんの息子さんはトラちゃんのことをすごく気に入ってるよねえ。
お父さんは脳梗塞やってるって言ってたよね?
だからほとんど喋らないんだね。
でも松本邸は何だか契約になりそうだよね?」

<私、>
「松本さんのお父様は脳梗塞だと聞いてます。
なのであまり喋れないんだと思います。
今回のこのリフォーム工事の決定権者は息子さんです。
わざわざこうして私たちを待たせて時間を取っているということは
弊社で良いか?とお父様に最終結論を仰ぐためだと思います。
そのシーンを見せたくないので席を外してほしいと言っているんだと思います。」

その後も30分以上が経過しましたが。。

まだ連絡が無いため少々不安を感じ始めた私と深野係長。。


すると、、


どこからともなく救急車のサイレンが。。


<深野係長>
「ええ、、何か救急車がこっちへ来るよ!?
こんな住宅街で誰か倒れたんだろうか。。」


そして遂に救急車が私たちの待機している車の前に泊まりました。

ええっ?!何なんだ。。まさか。。

次回>>第41話に続きます。

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