Pocket

こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第45話からの続きです。

普段温厚でやさしい深野係長が最後の望みをつないでくれました。

しかし、、まだ松本邸の契約が決まったわけではありません。

明日中に業者決定兼設計申込書を締結するにはいくつかの障壁があります。

もしもうまくいかなかった場合、、

私がこの会社を退職して転職を余儀なくされることは確実です。




明日で全てが決まる!深野係長に勝算はあるのか?

松本息子様との電話を終えた深野係長は私に、

<深野係長>
「とりあえずは奥の手で何とか時間は稼いだけど。。
実際に明日この仮契約が締結されたとしても。。」


、と言ったまま黙り込んでしまいました。


<私、>
「、、ちょっと深野係長、、
どうしたんですか?
黙り込まないでくださいよ!
何か勝算があってこういうパターンに持っていったんじゃないんですか?」

しかし、、

呆然と立ち尽くしたまま言葉を発しない深野係長。

不安に思った私でしたが、、

思いつめた表情の深野係長を前にこれ以上何か問いかけることも出来ず。。

その時、長井所長から声がかかりました。

<長井所長>
「深野係長とトラジロウ!
ちょっと緊急打合せするから応接室に来てくれ!」

ということで3人は応接室に移動しました。

その応接室の中で3人はテーブルを囲んで向き合った状態になりました。

ちなみに深野係長は長井所長よりも2つ年上のため、

深野係長に対して多少は気を使っている様子でした。

<長井所長>
「深野係長!どうしたんですか?
いつもこんなにアツイことをするタイプじゃないのに。。
イヤっ。。文句を言っている訳じゃないですよ!
ちょっと見直しましたよ。」

<深野係長>
「私はこの会社に骨を埋めようと覚悟して働いています。
今回、トラちゃんの松本邸が契約にならなかったら大変なことになります。
この営業所も解体になるかもしれないし。。
今更この会社を退職して転職活動なんて考えられません。。
何とか今月は東京西営業所を達成させたいんです!
だから気づいたら行動していました。」

いつになく頼もしい深野係長の姿に長井所長は珍しく感銘を受けている様子でした。

しかし、すぐに長井所長の表情が険しくなり、

<長井所長>
「深野係長。。東京西営業所のために頑張ってくれてありがとう。
今の現状ではこうするしかなかったとオレも思う。
しかし実際に今月東京西営業所を達成させるのはかなり厳しいと思う。」

<深野係長>
「それは重々承知しています。
実際に今月東京西営業所を達成させるにはいくつもの高いハードルがありますよね?」

今月達成するための高い障壁とは

私がこの状況下で何かしゃべると、、

いつものパターンで長井所長に怒られそうなので空気を読んで黙っていました。

<長井所長>
「実際に明日仮契約(業者決定兼設計申込書のことを仮契約と言うことにします)が締結されたとしても本社がそれを認めるかがカギです。
深野係長には何か勝算があるんですか?」

<深野係長>
「正直なところ、、私たち住宅業界の営業の世界では
心意気一つ
というところがあると思ってます。
とにかく私とトラちゃんで明日の仮契約締結に関しては何とか頑張ります!
なので長井所長は本社に仮契約であっても確約が取れている旨を説得して頂きたいです。
そして本契約締結までは達成扱いということで承諾させてほしいんです。」

<長井所長>
「そうするしか他に方法は無いよな!
わかった!
そこは何とかうまく本社に交渉してみる。
だけど、、
そもそも明日の仮契約が締結出来るかが問題だよな。
別に仮契約なんだから申込金は10万円でもよかったんじゃないか?」

<深野係長>
「いやっ。。
お言葉ですが長井所長、それでは本社が納得しないと思います。
お金は信用です!
今月契約出来ないのに特例で達成扱いにしてもらうのであれば絶対に解約にならない金額を納めてもらうのが筋ではないでしょうか?
2800万円もの契約を確定させるのであれば10万円ぽっちではモノ足りません!」

<長井所長>
「、、なんだか今日は深野係長にやられっぱなしだな。。
確かにその通りだ!
オレも本社を説得するのにわずか10万円の申込金では説得力が無い。」

といったやり取りが行われ、その後も具体的な戦略が練られました。

この日は不思議と長井所長は私に対してあまり強く当たってきませんでした。

決戦の時!月末最終日を迎えて

そして迎えた月末最終日!

もうやるべき事はやり尽くしました。

昨日も夜中までいろいろと社内で打合せを行いました。

思えばこの会社に転職してきてから苦難の連続でした。

しかしとにかくガムシャラに頑張ってきました。

これでダメだったら、、

もうこの会社には縁が無かったと思ってスッパリと退職する覚悟です。

そのくらい自分ではよく我慢し耐え抜いてきたと自負していました。

かといって転職活動は少々面倒くさいですが。。


私と深野係長は予定どおり松本邸に向かいました。

約束の18:00少し前には到着しました。

そして18:00ちょうどになったタイミングで松本邸のインターフォンを鳴らしました。


ピンポーン!


<松本息子>
「はいっ!お待ちしておりました。中へどうぞ!」

ということで私と深野係長は中へ入りいつもの応接室へと導かれました。

<松本息子>
「いろいろとご面倒をお掛け致しまして申し訳ありません。
本日はご足労頂きまして有難うございます。」

<私、>
「こちらこそお気遣いありがとうございます。
大変恐縮でございます。
本日、深野からお話しさせて頂きました
業者決定兼設計申込書締結は大丈夫でしょうか?」



返答を待つ時間、実際はごく僅かな時間だったと思います。

しかし私にとってはものすごく長い時間に感じられました。

今でもあの時の事は鮮明に覚えています。



そしてしばらくして、



<松本息子>
「一応、、今日病院でオヤジと話しをしました。
今回の工事は新光クリエイトさんにお任せします!
なので契約までの流れなど、、
トラジロウさん!ご教授ください!」

その瞬間、思わず喜びが込み上げてきた私でしたが、

しかし、、まだ素直には喜べません。

まだ大きな不安材料が残っています。。

私は松本息子様に問いかけました。

<私、>
申込み金の140万円ですが、、
ご用意頂けましたでしょうか?」

<松本息子>
「はい。大丈夫です。
ちゃんと140万円用意しました。
本日、契約が完了したらすぐに振込める準備は出来ています。」

その時、私はフッと、、一瞬気が抜けたような、、

不思議な気持ちになりました。

今までどんなに頑張っても苦難の連続だったけど。。

これをキッカケに神様もそろそろオレに光を当ててほしい。。

続けて松本息子様は続けました。

<松本息子>
「お約束通り、今回携わった業者さんたちにも全てお断りの電話を入れました。
さらに一カ月以内の本契約締結とおっしゃっていましたが、、
オヤジが退院して体調が整えばいつでも工事請負契約を締結して大丈夫です!」

ということで、、

何とか業者決定兼設計申込書締結が無事完了しました。

あまりにもこの仮契約までの道のりが険しかったため忘れていましたが、、

本来、こういった大型案件の場合は

契約はあくまでもスタートラインです。

これからが本当の正念場になっていくわけです。

しかし私は一時の安堵感に浸っていました。

次回>>第47話に続きます。

※ベンチャー企業奮闘記は毎週日曜日更新です!







Pocket