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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第56話からの続きです。

今までほとんど喋らなかったお父様が突然

「分かった!これ以上説明は不要だ!」

と言い放ち、そのまま咳き込んで重篤な状態に。。

結局それ以上続行不可能となってしまいました。




松本息子からの着信

私と深野係長はあまりのショックで無気力状態が続いていました。

長井所長からも怒られ、、

まあ、、仕方ないことではありますが。。

そして遂に転職を決意した私はお世話になった上田営業マンと昼飯を食べに行きました。

そんな中、

突然松本息子様から電話がかかって来ました。


何だろう、、今さら。。?


意味がわからず私は困惑しました。

松本息子様は昨晩本社に電話して契約を白紙にすると言ってきたわけです。

私ではなく本社に直接電話して断ってきたということは


私とはもう話すことはないということです。


私の頭の中はパニック状態でいろいろなことが駆け巡りました。

しかし悩んでいても仕方が無いので電話に出ました。


<私、>
「トラジロウです。
先日は大変失礼致しました。
どうなされましたか?」


<松本息子>
「いやっ、、実は、、
昨晩御社の本部に電話してしまったのですが、、
オヤジがもう一度話をしたいと言ってまして。。
もう一度実家に来て頂くことは可能でしょうか?」


どういうことなんだろう?


その時わたしは松本息子様の言っている意味が理解出来ませんでした。

そうはいっても営業マンとしては行くしかない訳です。


<私、>
「はい。大丈夫です。
例えば本日の夕方5時以降でしたら伺えます。」


<松本息子>
「わかりました。
それでは5時に来て頂いてもよろしいですか?
お待ちしております。」


ということで、

私と深野係長は5時に松本邸に行くことになりました。


やがて5時に再び松本邸を訪れた私たちはインターフォンを押しました。

するとインターフォン越しに


<松本息子>
「トラジロウさんですね?
そのまま中へお入りください。
いつものリビングまで入ってきてください。」


ということで我々はリビングまで足を踏み入れました。

いつものように松本息子様とお母様が座っていてお父様はすぐそばのベッドに横たわっていました。


<松本息子>
「何度も足を運んでいただきありがとうございます。
実は今朝オヤジがだいぶ安定してきたので話しをしたんです。
オヤジは今まで親身になって良い提案をしてくれた御社で契約したいと言ってます。」


えっ!?、、もしかして復活ってこと?


少しビックリしてしまった私。。

なぜなら見積書の記載ミスという大きな過ちを犯した上にお父様の体調も悪化させてしまった訳です。

なので再びこの契約が復活するとは思っていませんでした。

それは大変喜ばしい話です。

しかし私は一抹の不安を抱えていました。


<私、>
「ありがとうございます。
いろいろと弊社のミスで不愉快な思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした。
それでは御契約ということでよろしいでしょうか?」


すると、、


<松本息子>
「はい。そういうことでお願いします。
ただし!
それには一つ条件があります。」


私と深野係長は一瞬目が合いました。

突きつけられた厳しい条件

お互いにイヤな予感がしていたわけです。

私は松本息子様に尋ねました。


<私、>
「ありがとうございます。
ところで、、
その条件と言いますのは?」


<松本息子>
「それは見積書を正しく訂正して頂いた金額
すなわちキッチンを1セット減額した総額2580万円
なら契約しますということです。」


イヤな予感は的中しました。


やっぱりそう来たか、まあ、そうなるよな。。


私はすぐに言葉を発することが出来ませんでした。

深野係長も何も言えずただ下を向いてうつむいていました。


<松本息子>
「いくらオヤジが契約するって言っても、、
これは許されないミスです。
自分は納得いきません!
220万円もの高額商品なのに
「数量ミスしてました」
では許されません。
もちろん言っていることはわかります。
総額が2800万円と先に契約金額を積算していること。
そしてその金額になるように見積りの詳細項目を割振っていくという理屈。
ただしそれは客にバレないようにやる話しですよ!
全く筋が通ってないじゃないですか!」


<私、>
「大変申し訳ございません。。
松本様のおっしゃっていることは全てその通りでございます。
、しかし、、」


私はその先の言葉が見つかりませんでした。

あんなに私のことを信用して契約をしてくれようとしていた松本一家。

にもかかわらず今回のミスはあまりにも稚拙すぎます。。

松本息子様が納得のいかない気持ちは痛いほどわかります。

それだけに弁明の言葉が見つかりませんでした。

しばらく重苦しい空気が流れました。

そんな中、

深野係長が突然声を上げました。


<深野係長>
「松本様!大変申し訳ございません!
全ては私の責任です。
今回、トラジロウが正しく見積りを完成させていました。
それなのに私が詳細項目をいろいろとイジッてしまい、、
このようなミスを犯してしまいました。
上司である私が逆に部下の足を引っ張ってしまいました。
なので私は松本様のリフォーム担当から外れます!
トラジロウは技術も知識も経験も、、
そしてお客様を第一に考える優秀な社員です。
なので引続きトラジロウを信頼してやってください。
本当に申し訳ありませんでした。」


普段は見せないアツイ熱弁を振るった深野係長ではありましたが、、

その後再び黙り込んでしまいました。


我々の選択肢は二つです。


一つは減額要求を受け入れて総額2580万円で契約する。


そうすれば東京西営業所の達成が無効にならずにすみます。

しかし私たちの約120万円ずつの歩合(報奨金)は無くなります。

この超難物件に長い期間たずさわってもタダ働き確定です。

もう一つの選択肢は


あくまでも減額せず当初の2800万円での契約を迫る


そうした場合、当然契約は白紙になるので東京西営業所は壊滅します。

しかしタダ働き確定でこれだけの難物件をずっと担当する精神的・肉体的苦痛からは免れられます。




どちらにしても地獄というわけです。




しばらく重苦しい空気が漂っている中、

お父様が動きました。

お父様が満を持して言い放った言葉

突然ベッドから起き上がったのです。

そして、、




<お父様>
「勝利!(松本息子様の名前)
もういい!
2800万円のままで契約する。




はっきりとした声でそう言い放ちました。


<松本息子>
「オヤジ!
起き上がってそんな大きな声出して大丈夫なのか?
ほんとに減額しなくていいのかよ!?
オレはさすがに納得いかね~よ!」


<お父様>
「勝利!、ありがとう。
彼らは悪意があってやったわけじゃない。
どうせ頼むならお互い気持ちよくやっていきたい。
オレも営業で長くやってきた人間だ。
彼らの言っていることもよくわかる!
金はある!心配するな!」




お父様、、なんて神々しいんだろう。。




あの時お父様の言い放ったセリフ。


今でも深く記憶に残っています。


しかし松本息子は納得するのでしょうか?


どういう行動に出てくるのか?


次回>>第58話に続きます。

※ベンチャー企業奮闘記は毎週月曜日更新です






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