Pocket

こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第57話からの続きです。

遂にお父様が満を持して言葉を発しました。

「どうせ頼むならお互い気持ちよくやっていきたい。
金ならある!心配するな!」

なんと、お父様は減額せず当初の2800万円で契約をすると言ってきました。

あまりのお父様の神々しさに魅了されてしまった私と深野係長。

しかし松本息子様は終始納得のいかない様子でした。




立ちはだかる壁!松本息子の厳しい反論

案の定、松本息子様はお父様へ問いかけました。


<松本息子>
「オイッ!おやじッ!
本当にいいのか?!
あまりにも酷いミスだぞ!
今まで頑張ってくれたことは認めるけど、、
でも何かしらのペナルティーは無いと納得いかね~よ!」




何も言えずただただ状況を見守る私と深野係長。




しかしお父様は横になったまま強い口調で言い放ちました。




<松本父様>
「もうこれ以上言うな!
オレがイイと言ってんだからそれでイイだろ!」




<松本息子>
「オヤジッ。。
ほっ、本当にイイんだな!?
ならオレもこれ以上は言わね~よ!」




、ということで、、

今まで私たちの前ではほとんど言葉を発しないお父様でしたが、


寛大なお父様の一言で私たちは救われました。


そして契約書の調印が無事に終了しました。

とりあえず何だかホッとしたのとドッと疲れが押し寄せてきたこともあり、

契約書のやり取りが終わった後すぐに松本邸を後にしました。

本当であれば今後の流れも含めて工事工程の説明や、

住みながらのリフォームのため荷物移動やどの部屋から工事するかなど、

ある程度、引続き説明や打合せなどをすべきではありましたが。。

今まで常に緊張感で一杯だった私たちはまずは一息つきたかったわけです。

新たなるステージへ!今後進むべき道は?




帰りの車中で私と深野係長は安堵感に浸っていてしばらくお互い黙り込んでいました。

しばらくして、


<深野係長>
「今までいろいろあったけど。。
とりあえずはオメデトウ!
あと、、
オレのせいで面倒なことになって申し訳ない。。」


<私、>
「いえっ、、
とんでもないです。。
今まで親切にいろいろ教えて頂いたこと感謝してます。
今回の件に関してはもう気にしないでください。
松本邸に関してはお互いメチャクチャ頑張ってやってきましたから、、
私も同じようなミスを犯す可能性は充分あったと思います。」


少しずつ落ち着いてきた私たちは先ほどのお父様に関して話しました。


<深野係長>
「お父さんいつも厳しい表情でほとんど喋らなかったから、、
すごく怖い人か、もしくは融通の利かない頑固オヤジかって思ってたけど。。
あんなに話の分かる人だなんて全然わかんなかったね?」


<私、>
「私も本当にそう思います。
息子さんが納得いかないと言い出した時に
もうこれは終わったな、、
と思いましたけど、、
「金ならある!これ以上言うな!」
って、、
格好良すぎるって言うか、
今まで頑固オヤジで難しそうって思っていた自分が恥ずかしくなりました。。」


<深野係長>
「確かに。。
人は見かけによらないっていうけど、
そんな素晴らしいお父さんのためにも絶対このリフォームは成功させないとね!」


<私、>
「もちろんです!
でも、、ホントに松本邸が契約にならなかったら退職して転職しようと思ってました。
社長や部長とも直接話しちゃってたし、、
その他の今までの事とか考えたらもう未練は無いって思ってましたからね!」


<深野係長>
「トラちゃんのそういった覚悟はヒシヒシと感じてたよ!
あんなミスしてオレもすごい責任感じてたし申し訳ない気持ちで一杯だった。
だから辞めないで続けるって今聞いてすごくホッとしてる。。」




そんな話しをしながらその日はお互い営業所に戻らずに直帰しました。


実際、この会社を辞めて転職しようと決意していた私。。

今回の松本邸がこのような好展開になるとは全く予想していませんでした。

そのため今後の自分はどうすべきか?

をマジマジと考えていました。

大手ハウスメーカー時代は苦労ばかりで全く報われず、、


最初からキャリアとノンキャリアで格差があったり、、

固定給のため優秀社員が損してダメ社員が得したり、、


そんなこともあり、

実力主義で少数精鋭のベンチャー企業への転職を決意し今に至るというわけです。

しかし、


転職とは会社ではなくその配属先に就くこと


という言葉のとおり、

この会社自体は当時素晴らしい会社ではありましたが、

私の配属先にはパワハラ長井所長が、、

結局、無駄に苦労や遠回りばかりさせられ、、

何の成果も出せぬまま気が付けば10か月も経過していました。

目指すは年収1000万円!

ということで改めて私の目標は、


この会社でトップを取り年収1000万円達成


と心に誓いました。

今回の2800万円の大型契約は、

どうであろうと私がこれから飛躍していくための起爆剤としては充分な実績です。

そして報奨金もようやくまとまった金額を取れそうなところまできました。

以前に少し触れましたが、

住宅業界の営業マンは新築もリフォームも


歩合給(報奨金)制度になっている会社が結構あります。


この会社はその中でも外交員報酬制度といって


基本給が少なく歩合給が高い給料体系


であったため、

頑張れば頑張っただけ年収に比例してくるわけです。

もちろんこういった会社のほとんどは


既定粗利率が低下した場合は歩合給カット


という厳しいルールがあります。

結局、住宅という大きな商品は、


完成物を確認出来ない状態での見なし契約


なわけですから、

仮に契約した段階で報奨金がもらえるのであれば営業マンはウソをついたり安い金額で契約してしまいます。

なので住宅業界では契約金額ではなく


完了時の粗利(最終獲得した利益)


が全てです。

実はここがスゴク難しいところなわけです。

住宅業界の営業マンの方であればその理由が痛いほどわかると思います。

なぜなら競合他社もあります。

だから契約直前で金額も絞られます。

ある程度の値引きに応じなければならない場合もあるでしょう。

さらには、


「この部分は契約後に追加になる可能性があります。」

「3月中に引渡しが出来ない可能性もあります。」


など、いくらそれが正しいとしても、

あまりそういったお客様にとって負の要素を説明してしまうとお客様の気持ちは離れます。

結果、一定数の営業マンは

無理な値引きをしたり、、

本来説明しておかなければならないことも隠して契約してしまいます。

なので工事が全部終わってフタを開けて見たら利益率がメチャクチャ下がってしまうのです。

もちろんその場合、一定の利益率がダウンしているため


営業マンは歩合給がもらえずタダ働きとなります。




少々話がそれましたが。。




次回はこの超難物件をスタートするにあたり、


あらたなる壁にブチ当たります。


次回>>第59話に続きます。

※ベンチャー企業奮闘記は毎週月曜日更新です!









Pocket