こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第59話からの続きです。
遂に仮契約から本契約となりました。
ようやく落ち着いてこの難物件に取り組めると思っていました。
しかし深野係長からイヤな連絡が入りました。
とりあえず松本邸を出た私は営業所へ戻る車中から深野係長に電話しました。
提携大工たちに断られて大ピンチ!
わずかワンコールで深野係長が出ました。
<深野係長>
「ああっ、、トラちゃん!
松本邸の打合せ終わった?」
<私、>
「はいっ、
たった今終わって車に乗った瞬間に電話した次第です!
松本邸に入れる職人がいないって、、
どういうことなんでしょうか?」
<深野係長>
「うん、、そうなんだよ。。
実は東京西営業所で業者登録している業者に打診してみたんだけど。。
鉄筋コンクリート造で外壁も解体するような難しい工事は出来ないって。。」
<私、>
「確かに、、言われてみればそうですよね。。
日本の住宅は一部ハウスメーカーをのぞいてほとんど木造ですもんね。。
鉄筋コンクリート造の一戸建てってなかなか無いですよね。。」
<深野係長>
「そうなんだよ。。
あと、2ヵ月以上連続して現場に入らいないといけないから、、
それも厳しいって言うんだよね。。」
これはかなりのピンチです。。
今まではとにかく契約を取ることで必死でした。
しかもこんな鉄筋コンクリート造で、、
かつ構造躯体を一部解体するような超難物件。。
もちろん私も
もし契約が取れたとしても大丈夫なんだろうか?
、と、当初から不安は感じていました。
しかし住宅業界の営業マンであればわかってもらえると思うのですが、、
とにかく目の前の大きな獲物は全力で狩りにいかなければなりません。。
先のことなど考えていたら進めません。
これは営業マンの悲しい宿命とも言えます。
ということでガムシャラに私は頑張りました。
そして遂に契約の運びとなったわけです。
目の前に現れる敵を倒しても倒しても、、
また新たなる障壁が立ちはだかって来ます。
新築注文住宅の営業マンもリフォームの営業マンも、、
住宅業界の営業マンはシガナイわけです。
しかし悲観的に考えていても何も進みません。。
契約をしてしまっている以上、
私は松本邸を無事工期通りに完成させて引き渡さなければなりません。
もちろん利益率を8%以上落とさず、、
(そうでないと歩合給カットでタダ働きです)
お客様満足もキッチリ確保しなければなりません。
契約はあくまでもスタートライン
住宅業界の営業マンにとって
契約はあくまでもスタートラインです。
前職の大手ハウスメーカー時代、そんなことは充分承知していたはずでしたが。。
とにかく私は不安イッパイで逃げ出したい気持ちでした。
それから数日が経過しました。
深野係長や長井所長含め東京西営業所一丸となって業者を探しまくりました。
しかし超難物件の松本邸に入ってくれる業者が見つかりません。
そんな中、私の携帯が鳴りました、
松本息子様からでした。
<私、>
「もしもしトラジロウです。
お世話になっております。」
<松本息子>
「あの~、、
まだ確定工程表は出来てませんか?
住みながらのリフォームだから荷物移動とかいろいろ考えないといけないですし。。
前にも言いましたけど私が8月から四国へ転勤なので7月末は厳守してくださいね。
オヤジは脳梗塞を患って以来ご存知のとおり話をするのは難しいので私がいないと厳しいと思います。」
<私、>
「大変申し訳ありません。。
現在調整中でして、、
もう少しお待ちいただけますでしょうか?
もちろん勝利様(松本息子)が転勤なのは存じております。
なので7月末にはキッチリと工事を終わらせますのでご安心ください。」
ああっ、、言っちゃった。。
でも、、ウソつくしかないよな。。
お客様とは真実で向き合う。
ウソをつかずに誠実に対応する。
というのがセオリーだとわかってはいても、、
しかし空気を読むことも大事です。
何でもかんでもバカ正直に言えばよいわけではありません。
余計にお客様を不安にさせると、その結果
われわれ業者もお客様も共に不幸になってしまいます。
今私がやるべきことは松本邸を任せられる業者を引っ張ってくることです。
とりあえず松本息子様に不安をあたえないように応対して電話を切りました。
私も自分の幅広いネットワークを駆使してあちこち当たってみました。
しかし業者は見つかりませんでした。
内緒で通っていた一級建築士資格学校
話しは変わりますが、、
当時、私は一級建築士取得を目指して資格学校に通っていました。
しかしそのことを会社に言うと、
「そんな暇があったら営業数字を上げろ!」
と言われるのが目に見えていたので会社には内緒で通っていました。
その資格学校は毎週火曜日の夜7時からとなっていました。
とにかく松本邸のことで日々頭がイッパイの私。
いっそのこと休みたかったのですが、、
気が付けばその資格学校の席にすわっていました。
あ~あ、こんな気持ちで勉強どころじゃ無いんだけど。
ほとんど授業が頭に入らぬまま休憩時間に突入しました。
席を立つ気力も無い私はそのまま机にうつ伏して目を閉じていました。
すると、、
「いや~、、昨日はまいったよ!
全改装リフォームで本来なら1000万以上かかるのに800万で全て込みでって言われてさあ。。
大赤字だよ!」
そんな会話が耳に入ってきました。
んっ?!、まてよ?、これって業者?
すぐに起き上がらずに私はそのままの体制で続きを聞いていました。
話しをしているのは当時の私と同じ年くらいの角刈りの生徒でした。
予想するに彼は工務店の息子のようでした。
万を持して私は起き上がりました。
そしてその角刈りの生徒の前に行きました。
<私、>
「すみません。。
私、新光クリエイト株式会社のトラジロウと申します。
一緒のクラスで授業を受けているわけですけど、、
もしかして工務店さんをやられているんでしょうか?」
とつぜん私に話しかけられ少し戸惑った様子でした。
実際、40人くらいのクラスでしたし既に何度も授業は受けていたため
同じクラスだということとお互いの名前くらいは知っている状態でした。
もちろん今まで直接話しをしたことはありません。
単なる社会人が通う資格学校でたまたま同じクラスだというだけです。
もし彼が工務店経営者なら話してみる価値はあります。
もう現段階で思い当たる全ての業者には打診し尽くした訳ですから。。
次回>>第61話に続きます。
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