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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第60話からの続きです。

超高難易度の松本邸に入る業者が見つからず八方塞がりでした。

そんな中、当時通っていた一級建築士資格学校で工務店の息子っぽい生徒を見つけました。

とにかく僅かな可能性に賭けてみようと思った私はその生徒に話しかけました。




その角刈りの生徒の正体とは

<私、>
「すみません。。
私、新光クリエイト株式会社のトラジロウと申します。
もしかして工務店さんをやられているんでしょうか?」




突然私に話しかけられ、、


その角刈りの生徒は少し戸惑った様子でしたが、、




<角刈りの生徒>
「ああ、、どうも。。
自分の家は工務店だけど、、
オヤジが元々大工で中山工務店っていう名前でやってます。
自分はゼネコンで働いていて現場監督やってます。」


<私、>
「突然話しかけちゃって申し訳ないです。
実は自分の会社はリフォーム会社なんですが、、
鉄筋コンクリート造一戸建ての全改装リフォームをやってくれる業者を探してます。」


<角刈りの生徒>
「えっ?!、、でもリフォーム会社でしょ?
協力業者で大工とか工務店とか、、
やってくれる業者いないんすか?
ああ、、オレ中山っす!」


<私、>
「中山工務店の中山さんですね?
トラジロウです。よろしくお願いします。
木造ではなく鉄筋コンクリート造で難易度が高いことと、、
7月末引渡しと短工期なので一人親方の大工だと間に合わないんです。。」




といった感じで、

22:00に授業が終わってから資格学校近くの居酒屋でいろいろ話しをしました。

もともと同じクラスで既に3カ月くらい授業を受けていたためお互い顔は知っていました。


ただし今まで話をしたことはありません。


しかし話してみると同じ年ということもわかり意気投合しました。

、といいますか、、

私が彼と波長が合うように気を利かせたというのが実際です。

なぜなら中山君はかなりクセの強いトガッたタイプだったからです。

例えばクラス内で友達を作ろうと思った時に最も近寄りにくいタイプでした。

しかし私は持ち前のコミュ力を駆使して何とか仲良くなりました。

その後、本題からソレて中山君の家族内トラブルや勤務先のゼネコンでのグチなど。。

朝方まで一方的に何時間も話し込まれてしまいました。

果たして中山工務店は救世主となるのか?

中山君の話を親身になって聞いていた私でしたが。。

朝方になってようやく私の本題である業者探しの話題に戻りました。

私は中山君に全てを打ちあけました。

それに対して中山君はこう話しをしてきました。


<中山>
「トラジロウ君、大体概要はわかったよ。
ウチの工務店、昔は20人以上大工や社員がいて隆盛にやってたんだ。
でも今はほとんどオヤジ一人でやってる。
あとは知り合いの業者を使って工事を請け負ってるんだ。
住友不動産の【新築そっくりさん】って知ってるだろ?
その全改装リフォームを請け負ってる一括業者なんだ。
だけど最近は請負金額が厳しくて、、
最初に1000万円って工事を依頼されたら基本それ以上もらえないんだ。
だからこの間の工事は赤字だった。」


<私、>
「なるほど。。
でも大型工事には慣れてるよね?」


<中山>
「オヤジは元大工だけど基本は大工として現場には入らない。
請け負った大型工事の監督をやるので手一杯だ。
現場を担当する職人もなかなか確保が難しい。
オヤジの仲間の大工はみんな高齢で、、
しかも忙しいんだ。
だからオヤジが監督やりながら大工もやらざる追えない状況になってきてる。
オレは将来オヤジの工務店を継ごうと思ってるけど今はゼネコンの現場監督だから手伝えない。」


淡い期待をしていましたが、、

いろいろ話していくと松本邸をお願い出来るような状態ではないことが分かりました。


う~ん。。神風が吹いたかと思ったけど。。


そう簡単にはいかね~よなあ。。

何の動きも無いまま早くも10日間経過

ということで、、

そこから数日間が経過。

業者の確保が出来ないままイタズラに時間だけが過ぎて行きました。

もちろん東京西営業所内でも長井所長や深野係長らがあらゆる業者に打診を続けていました。

しかし鉄筋コンクリート造であること。

大型リフォーム工事のわりに工期が短いこと。

そもそも東京西営業所登録の大工は高齢者が多い。

など、様々な要因により全くメドが立ちませんでした。

そんな中、私の携帯電話が鳴りました。

松本息子様からでした。

ここ数日の松本息子様からの電話攻撃で私は相当追い込まれていました。


<私、>
「ハイ!トラジロウでございます。
ああ、、松本様。。
大変申し訳ありません。。」


<松本息子>
「いや~、いい加減にこっちも心配ですよ!
もう契約してから10日過ぎましたけど。。
未だに工程表を確認出来ないってどういうことですか?
ホントに7月末に工事完了するんですか?
間に合わなかったでは済まされませんよ!」


<私、>
「何度も申し訳ございません。。
本当に、、いやッ!、、
メドは立っているのですが。。
、といいますか、、
引渡しは間違いなく間に合わせます!
だからご安心ください!
しかし、、工程表はもう少々お待ちください。。」




といった感じで、


このまま業者も決まらず引渡しも間に合わなかったらどうしよう。。


今さらクレームで解約になったらオレも営業所も一体どうなるんだろう。。


、、と、胃が痛い日々が続いていました。


いい加減にもう限界です。。


こういった精神的ダメージが住宅業界では結構あります。

注文住宅営業マンもリフォーム営業マンも、、

契約を取るのも一苦労ですが契約後もツラい日々が続きます。

住宅業界の営業マンの離職率が高い理由がわかってもらえると思います。

常にローキックとボディブローを地味に食らい続けているようなイメージです。

生きた心地がしないのは深野係長も同じでした。


<深野係長>
「トラちゃん、、どうしよう。。
松本邸に入れる業者がどうしても見つからない。
毎日トラちゃんに電話かかってきてるよね?
このまま間に合わなかったじゃ済まされないし。。
かといってクレームで解約になったら俺たち一巻の終わりだ。。」


長井所長もここ数日は電話をかけまくって業者を探していますがどうにもなりません。

もしも松本邸が解約、

もしくは7月末に引き渡せず大クレームになれば、、

もともと東京西営業所は5か月連続未達成だったわけですから長井所長の左遷は間違いない状況です。

ということで営業所内はメチャクチャ暗い雰囲気でお通夜のような状態でした。


あ~あ、、ヤッパこの会社辞めて転職かあ。。


と考えていると、

工務店の息子の中山から電話がかかってきました。


<私、>
「もしもし、中山君?
どうしたの?
今日の宿題だったらまだやってないよ!」


<中山>
「何言ってんだよ!
違うよ!
オヤジにいろいろ言って腕のイイ3人組の大工を確保した!
トラジロウの現場にすぐに入れば何とかいけるかもよ!
ただコンクリートの解体とかは出来ないけど。。」


なんと!、、中山から起死回生の連絡が。。


しかしクセのある中山を素直に信用できない私。


次回>>第62話に続きます。

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