こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第61話からの続きです。
相変わらず松本邸に入れる業者が見つかりません。
契約から10日以上経ってもメドが立たないため最悪な状況です。
そんな中、一級建築士資格学校で一緒のクラスだった中山から電話がかかってきました。
中山工務店の息子から突然の電話
<私、>
「もしもし、中山君?
どうしたの?
今日の宿題ならまだやってないよ!」
<中山>
「何言ってんだよ!
違うよ!
オヤジにいろいろ言って3人組の大工を確保した!
トラジロウの現場にすぐに入れば何とかいけるかもよ!
ただしコンクリートの解体とかは出来ないけど。。」
なんと!。。
中山から起死回生の連絡が。。
しかし前回書きましたが、、
中山はすごく近寄りがたいタイプで毒々しいオーラを持っていました。
ナナメ右から上目ずかいに人を凝視するところがあり。。
正直、、あまり友達にはなりたくないタイプでした。
クールに見えて突然ハッキリとモノを言ったり、、
頭の中で何を考えているのか全くわかりません。。
そんな中山からの電話に半信半疑な気持ちもありました。
もしかしたら弱みに付け込んで高額な工事費を要求されるかもしれません。
しかし、、
今はそんなことを言っていられません。。
とにかく業者を確保しないと全てがジエンドです。
<私、>
「そうか!電話ありがとう!
じゃあ早速だけど今回の図面とか資料をもとに工事内容の打合せ出来るかな?」
<中山>
「いいけど。。
今日トラジロウは日建学院(一級建築士資格学校)には行くよな?
終わったらこの前みたいにどこかで打合せするか!」
ということで、
その日の夜、中山と松本邸の打合せをすることになりました。
利害関係は一致するのか?
日建学院(一級建築士資格学校)が終わって22:00頃からファミレスで打合せを開始しました。
そこでまず私は中山に図面や仕様書などを広げて工事内容の全貌を説明しました。
中山はゴルゴサーティーン(漫画の主人公)のような?鋭い目線でジックリと私の説明を聞いていました。
なぜ私の話しを聞いてくれるのか?
私は中山に対して少々警戒心を抱いていました。
今の私は業者の確保が出来ない最悪の状態です。
しかし中山からしても自分にウマい話しでなければ協力するはずがありません。
お互いの利害関係が一致していなければ合意には至らないわけです。
特に中山はキッチリとした合理的なタイプです。
終盤で中山は私に質問をしてきました。
<中山>
「トラジロウ、
大体の概要はわかったよ。
この現場の予算はいくらなんだ?」
やっぱり来たか。。
結局はカネだよな。。
<私、>
「カケヒキ無しでズバリ言うと、、
建材などの材料費、大工造作工事、コンクリート解体など全て込みで1450万円。」
<中山>
「えっ?!。。
ヤスっ、、安いね。。
マジで。。」
<私、>
「いやっ、、そんなことは無いと思うよ。
我々は利益率が低かったら給料にならない。
だけど一定レベル以上の職人さんはある程度納得できる金額じゃないと工事やらないでしょ?
だからキッチリと積算して出した金額だからそこまで安いってことはないよ!」
<中山>
「、、まあ、いいや。。
でも今回の3人チームの大工はコンクリート解体とかは出来ない。
そこはどうする?」
<私、>
「中山君の勤めてる会社ってゼネコンだよね?
しかも現場監督でしょ?
何とかならないかなあ。。」
<中山>
「それは無理だ!
オレの会社の関連業者を勝手に他に紹介したり出来ない。
しかもウチの会社は副業みたいなのは禁止だから、、
オレはトラジロウの現場に直接関われない。
オヤジの工務店で完結するようにしてもらわないと厳しい。」
ということで、、
結論は出ずに24:30ごろにファミレス会議は終了しました。
次の日、会社で事務作業をしていると松本息子様から電話がかかってきました。
いつも通りまだ工程が組めていないことを謝罪しましたが。。
私は日々の松本息子様からの催促の電話に疲弊しまくっていました。
そんな中、
長井所長に応接室へ呼ばれました。
<長井所長>
「オイッ!トラッ!
松本邸に入れる業者は見つかったか?
オレもいろいろ当たってるけど全然ダメだ!
工事請負契約締結からもうすぐ2週間だ。
これ以上引っ張れない。
そろそろ解約の手続きを取らざるおえない。。」
う~ん。。ヤッパリそうだよなあ。。
結局会社辞めて転職活動かあ。。
でも松本さんに本当に迷惑かけちゃうよなあ。。
なぜか今日に限ってやさしいパワハラ長井所長の口調に増長され、、
とてつもなく悲しい気持ちと絶望感で頭の中が破裂しそうになりました。
しかし工事をしてくれる業者が見つからない以上、
早めに解約しなければなりません。
最後の砦は救世主となるのか?
窓口の松本息子様が8月から転勤のため7月末の工事完了は絶対です。
当社と解約して一刻も早く別の業者に変更するべきかもしれません。
しかしここまで弊社で時間を引っ張ってしまったわけです。
今からこの超難易度の高いリフォーム工事を請けて実際に工事完了出来る業者を探すのは不可能です。
思いつめた私はこれ以上仕事をする気になれず車に乗りこみました。
そしてあてもなく都内をドライブしていました。
新宿の大ガードをくぐって歌舞伎町の前を通過したあたりで電話が鳴りました。
中山君からでした。
とりあえず車を脇に停めて電話に出ました。
<私、>
「もしもし!トラジロウです!
この間は遅くまで付き合ってもらってありがとう。
どうしたの?」
<中山>
「あれから業者は見つかったか?」
<私、>
「いやっ、、
今日上司に呼ばれて話したんだけど。。
今回のリフォームはお客さんに謝罪して解約すべきだと言われた。」
しばらく電話口の向こうで沈黙がありました。
<中山>
「でも、、解約なんてしたら大変だろ?
ここまでオマエの会社で引っ張っといて今更ほっぽり出したらお客さんカワイソ過ぎるよな?」
<私、>
「もちろんそうだけど、、
しかし無理なのにこれ以上引っ張たらどんどん我々の罪が重くなるよね。。」
すると中山は突然大声をあげました。
<中山>
「よしっ!わかった!!
今回の工事ウチで請けてやるよ!
トラジロウを助けてやる!」
しかしその時私は瞬時にいろんなことが頭に浮かんできました。
合理主義の中山がどういうつもりなんだろう。。
大工は何とかなってもコンクリート解体は出来ない。
予算が安いって言ってたけどあとで追加請求されたら。。
次回>>第63話に続きます。
※ベンチャー企業奮闘記は毎週月曜日更新です。