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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第64話からの続きです。

何とか日建学院(一級建築士資格学校)で一緒の中山工務店に松本邸を任せることになりました。

しかし工期が2か月以上遅れてしまうという結論に。

ある日突然営業所に訪れた中山君の父は私の話しをジックリと聞いたあと、

「よしわかった!何とか間に合わせよう!」

と言ってくれました。

しかし現実的に間に合う状況ではありません。。




中山工務店社長の思惑

日建学院(一級建築士資格学校)で一緒の中山君は現在ゼネコンで現場監督をしています。

ゆくゆくは父が経営する中山工務店を継ぐ予定です。

そのため現在はゼネコンに勤めながら経営者セミナー等で日々勉強をしていました。

一級建築士取得も必須と考えていて私と同じく日建学院(一級建築士資格学校)に通っていました。

そんな中、突然中山君の父である中山工務店社長が私を訪ねてきました。

義理人情に厚い中山社長は親身になって私の話しを聞いてくれました。

そんな中山社長だからこそ

「オレが何とかしてやろう!」

という熱い思いから、


何とかして工期を間に合わせる!


と言ってくれたんだと思います。

しかし、、

現実的には大工がすぐに現場に入れないので工期を間に合わせるのは不可能です。

私は中山君の父、中山社長に問いかけました。


<私、>
「中山社長!
本当にありがとうございます。
初対面の私の愚痴をたくさん聞いて頂いて、、
しかも何とか間に合わせよう、、という気持ち。
しかし、、
先日中山君と源さん(大工親方)と現地打合せをしましたが。。
源さん自体も5月中旬からしか入れず、、
一郎さんと次郎さんは横浜の現場がイッパイで厳しいようです。」


<中山社長>
「息子から昨日いろいろ聞きました。
でもトラジロウさんのために何とか間に合わせたいと言ってました。
今回我が中山工務店で仕事を受ける以上、何とかします!
明日一日だけ時間をもらえますか?」


<私、>
「我々としてはもうお手上げ状態です。
手は全て出し尽くしました。
なのでもう中山工務店さん頼みです。。」


その後も、現地の写真や図面等で中山社長に工事の概要を説明しました。

そして一時間ほど打合せをした後、

中山社長は東京西営業所を後にしました。

義理人情に厚い中山社長

中山社長と別れた後、

私はすぐに中山君へ電話しました。

3コールほどで中山君が出ました。


<中山>
「どうしたんだよ!
まだ仕事中だぞ!
何かあったのか?」


<私、>
「ああっ、、ごめんっ。。
さっき中山君のお父さんが来てたんだよ。
ちょうど今帰ったとこなんだけど。」


<中山>
「えっ?!、、オヤジが?
トラジロウの会社に?
、、なんで?!」


<私、>
「中山君が今回の件をお父さんに話してくれたんでしょ?
だから工期のことをすごく心配してくれて。。」


<中山>
「えっ、そうなんだっ。。
今オヤジは住友不動産の【新築そっくりさん】の仕事でメチャ忙しいんだ。
それでもトラジロウのトコへ行くなんて。。
よっぽど心配なのかなあ。。
でっ、、何て言ってた?
間に合わないって言ってたろ?」


<私、>
「いやっ、、イロイロ話をしていくうちに、、
とにかく何とかするって、、
力強く言ってくれて。。」


<中山>
「ええっ?!
オヤジ、、なに考えてんだ?!
物理的に無理に決まってんだろ!
何でそんなこと言うんだろ?」


<私、>
「そうだよね?
まあ、、お父さん義理堅くてすごくイイ人だから。。
何とかしてあげたいって強く思ってくれたんだと思う。
オレも物理的に厳しいのはわかってるから。。
でも親身になって何とかしようって気持ち、
すごくアリガタイよね!」


ということで、、

中山君も父の発言の意図が読み取れずに悩んでいました。

中山社長を掻き立てたもの

中山社長は今回の松本邸の工期を間に合わせると言ってくれました。

もちろんそう言ってくれた中山社長には大変感謝です。

しかし現実的にそれが厳しいことは充分わかっていました。


建築現場は職人さんが全てです。


優秀な職人さんをいっぱい抱えていればこれほど楽なことはありません。

しかし職人さんはサラリーマンと違って収入に関しては不安定です。

一方で優秀な職人さんであれば単価も高く仕事も沢山あります。

今回の松本邸は難易度が高く工事範囲も広いため


優秀で作業スピードが速い職人


でないと現場をしっかりと完成させることは出来ません。

しかも一人ではなく何人かで工事しないと100%間に合いません。


ああ、、どうしよう。。


お父さんは勢いであんな風に言ってはくれたけど。。


今回こそはさすがの私もどうしようもないと感じていました。

やり切れない気持ちの私は松本様に電話をしました。


<松本息子>
「ああ、トラジロウさん。
いつから大工さん開始するんですか?
先日担当してくれる大工さんとやっと会えたんで、、
少しホッとしましたけど。。
でもホントに間に合うんですか?
前からしつこく言ってますけど!
もし7月末の引き渡しが間に合わなければタダではすまされないですよ!」


その重くドスの効いた声に私の胃は強烈な痛みを感じていました。


今度こそマジでやばい。。


もし転職しても住宅業界の営業マンだけはもう辞めたい


その夜、私は食欲が全くなかったので家に帰ってベッドの上で呆然としていました。


すると突然携帯電話がなりました。


中山社長からでした。


<私、>
「もしもしトラジロウです。
中山社長!
昨日はありがとうございました!
どうしたんですか?
こんな遅い時間に?!」


<中山社長>
「いえいえ、こちらこそ!
連絡が遅くなってすみません。。
例の現場の件ですが何とかなりそうです!」


<私、>
「ええっ?!
本当ですか?
じゃあ7月末の引渡しが間に合いそうってことですか?!」


<中山社長>
「元請けから頂いた仕事はキッチリ納めるのが私のポリシーです!
もう時間がありません!
大変申し訳ないですがもう一度現場で打合せさせてください。
そこで今回担当する職人全員で最終打ち合わせをします。
そしたら入れる職人から現場に入って段取りよく作業を進めていきます!」


<私、>
「えっ、、マジですか。。
ていうか?、、
よく現場に入れる職人さんを調達出来ましたね?」


<中山社長>
「まあ、、とにかくこの後もまだ電話で調整しなきゃいけないんで。。
細かいことはまた現場で話しましょう!
とりあえずは明日か明後日の夕方以降で現場打合せの段取りしてください!」




ということで中山社長との電話を切りました。

その後すぐに中山君に電話すると、


<中山>
「えっ!?マジっ!!
オヤジだれに頼んだんだろ?
源さんとこは一郎さんも次郎さんも横浜の現場だし。。
ホントに大丈夫なんだろうなあ。。
何か不安だけど。。」


しかしどうであれ中山社長を信じるしかありません。


本当に窮地に追い込まれたこの状態から現場を間に合わせる事が出来るのか?


次回>>第66話に突きます。

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