こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第70話からの続きです。
ARTコンサルティングの吉住氏から突然電話がかかってきました。
前回、このエリートコンサルタントの吉住氏と仲良くなった私。
本来の業務上では平社員の私と吉住氏が話をすることはないわけです。
なんと電話してきた理由は私を転職スカウトしたいとのことでした。
経営コンサルタントからの転職オファー
<吉住氏>
「経営コンサルタントに興味ありませんか?
トラジロウさんのように現場も熟知していてトークスキルの高い方を今探してるんです!
近いうちにお時間取ってもらえませんか?」
えっ!?、、転職スカウト??
私はその時、頭の中が真っ白になりました。
経営コンサルタントなんて考えたこともありません。。
しばらくして私は吉住氏に返答しました。
<私、>
「いやっ、、すみません。。
転職スカウト?なんて全く予期していなかったので戸惑っています。
今までパワハラ長井所長の元で、、
とにかく前だけ見てガムシャラに突き進んできたので、、
リフォーム以外のことを考える余裕なんて全くありませんでした。。」
<吉住氏>
「いやっ、、突然で本当に申し訳ないです。。
トラジロウさんを困らせるつもりは全くありません。
一度軽い感じで話しをさせてもらえればと思ってます。
もちろん無理やりどうこう、、
っていうことはありません。」
私は迷いました。
このベンチャーリフォーム企業に転職してきてもうすぐ一年になります。
長井所長のオカゲで今まで想像以上に苦労をしてきました。
しかしようやく本領発揮して自分の地位を確立し始めていました。
今月あと三日を残した現時点での私の営業成績は全営業所総合3位です。
結局その後いろいろと考えましたが、、
翌日の夜19:00からARTコンサルティングの吉住氏と会うことになりました。
住宅業界が計算通りにいかない理由
翌日、営業所に出社すると長井所長が上機嫌で話しかけてきました。
<長井所長>
「オイっ!!
このエロオヤジ!
おまえ美咲のこと気に入ってたろ!
美咲ならオマエにピッタリだな!」
何言ってんだ?そんな訳ね~だろ!
長井所長のいう美咲とは、
昨日のスナック【愛花夢】で一番酷かった歯無しヤンキーのことです。
とにかく、、
「なぜ?この人がホステスなんだろうか?」」
と思ってしまうほどあらゆる意味でヒドい女性でした。
相変わらずの長井所長の対応を横目に私は自分の席に座りました。
なんだかんだ言って長井所長もだいぶオレにナツいてきてるよなあ。。
経営コンサルなんて聞こえはいいけど実際は。。
一応、席に座って業務をしている風を装ってはいましたが、、
頭の中では今後の自分の進むべき道についてずっと考えていました。
そして19:10に吉住氏と約束している居酒屋に到着しました。
すでに吉住氏は個室ブースの中で待機していました。
店員に誘導されてその個室ブースの中に入り、
<私、>
「遅れてしまい申し訳ありません。。
よろしくお願いします!」
そして転職スカウト会議は始まりました。
<吉住氏>
「実は今回トラジロウさんにお声をかけた理由は、
幅広い実務経験をお持ちで泥臭い現場のことも熟知されているからです。
経営コンサルタントのクライアントは多岐に渡っています。
しかしこの住宅業界に関しては数値分析や計算通りスムーズにいかないことが多々あります。」
<私、>
「まあ、、そうでしょうね。
私は泥臭さでは誰にも負けない自信があります。
、、全く自慢にもなりませんが。。
住宅業界が経営コンサルの計算通りにいかない理由がよくわかります。」
<吉住氏>
「本当にそう思います。
やはりお客様や業者さんとの人間関係など、、
非情に情緒的な要素に左右されることが多く単純に数値で割り出せないところがあるからだと思います。」
<私、>
「その通りです。
ちょっと趣旨からソレてしまうかもしれませんが、、
前職の大手ハウスメーカー時代、仲の良かった同期の話しです。
小池と大沢という2人の営業マンがいました。
小池は会社に来ないし休みも必ず取って遊び呆けていました。
一方で大沢はいつも朝一番に出社して遅くまで残業して、、
さらに休み無しで馬車馬のように働いていました。
しかし小池は営業成績トップで顧客満足度は最高評価、
一方で大沢は営業成績最低ランクで顧客満足度も低評価。。」
吉住氏は黙ってじっと私の話を聞いていました。
私は続けました。
<私、>
「ようするに、
人間は感情の生き物
だと言いますが、、
こと住宅業界においては、対お客様、対業者など、、
要領がよくコミュ力が高い小池のように相手の感情をうまくコントロール出来る者が強いということです。」
<吉住氏>
「いわゆる自己啓発本に関して言うと、
モチベーションの維持や感情をコントロールなど、、
心理的要素を主として綴られた書籍がほとんどです。
住宅業界ではこういった目に見えないあらゆる心理的要因を操ることが最大のカギだと感じてます。
工場の作業員やマクドナルドの店員の作業効率を上げるのと違って大変難しいと思います。」
<私、>
「お客様の前での表情やリアクション、雑談力、、
いかに親身になって聞いているかの傾聴力など、、
そういったものを総合して
絶対的信頼と好感度
を得れば小池のように実際には労力も時間もさほどかけていないのに
小池さんは本当によくやってくれている!
と必然的に過剰評価してもらえます。
そうなれば多少のミスも許されてしまいます。」
<吉住氏>
「そして大沢さんという営業マンは些細なミスでも即クレームになるし、、
業者さんもついてこない。。
でも人一倍仕事をしていて常に疲弊している。
本当に難しいですよね、住宅業界って。。」
経営コンサルか?住宅業界のプロか?
そんなこんなで、、
気が付けば24:00過ぎまで吉住氏と語り明かしていました。
<吉住氏>
「とりあえず条件を言っておきます!
もしも弊社にトラジロウさんが来てもらった場合ですが、
最初の3カ月は固定で40万円/月をお支払いします。
そして試用期間終了後本採用になれば
固定給50万円/月と年3回の賞与
といった感じで考えています。
最初の一年は厳しいですが、、
トラジロウさんなら年収1000万は絶対にイケると思いますよ!」
ええっ?!、月給50万、、固定で?
年3回も賞与があるのかよ。。スゲーッ。。
現在の私の固定月給はわずか15万円しかありません。
なので3倍以上の金額です。。
固定給が3倍以上違うなんてありえません。。
私はその時かなりグラッときていました。
さらに、、
<吉住氏>
「ああ、、そうだ!
弊社コンサルタントのスケジュールは個々の裁量に全てまかされています。
すなわち出勤時間や昼休みなど全て自分で決められます。
だから自由に働けます。
週一で苦痛な会議に拘束されたり朝遅刻して怒られたり。。
そういうことはありません。」
マジっ?!行動管理もされないのかよ。。
今までこの会社でメチャクチャ泥マミレだったのがバカらしくなるよなあ。。
あまりの好条件に断る理由など全く考えられない私。。
すると、、
<吉住氏>
「どうですか?
全然悪い条件じゃあないと思いますよ!
もちろん今すぐに返事をくださいとはいいません。
今週の金曜日までにお返事を頂ければ結構です!
質問とかあればいつでも連絡ください。
もちろん結果がどうであれ会社には一切公言しませんのでご安心ください。」
24:00過ぎまでに及んだ吉住さんとの会議は終わりを迎えました。
あまりの唐突な話しにまだ実感が湧いてきません。
経営コンサルタントか?
このまま住宅業界のプロとなるのか?
次回>>第72話に続きます。
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