こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第78話からの続きです。
15日間連続で近隣承諾書の取得に翻弄する私と岩柳さん。
毎日3時間以上マンション玄関ホールに張り込み続けました。
当初のタイムリミットを4日経過した7月29日の夜中。
遂に705号室の住人と思われる人と遭遇しました。
ポストの前に立つ住人は?
その少し前まで、、
私は岩柳さんに、
なるべく怒らないよう常に心掛けること
「殺す!」のような危険な暴言は絶対言わないこと
の二つを約束してもらいました。
これ以上娘さんを追い込んでしまわないようにしたかったのです。
そんな切羽詰まった少女から夜中に再び電話がかかってきたりしたら。。
本当にたまったもんじゃありません。
そもそも夜中に無言電話なんてマジで気分悪いです。。
そんなやり取りに熱くなっていたせいで、、
我々は玄関ホールを通過した住人を見落としていたわけです。
私と岩柳さんは急いでその住人が歩いて行った郵便ポストの方向へ駆け寄っていきました。
そこには705号室のポストを開けて郵便物をチェックする50代くらいの男性が立っていました。
私はその男性にたずねました。
<私、>
「遅くに申し訳ありません。。
705号室の神谷さんでしょうか?」
するとその男性は大きく目を見開き困惑した表情で、
<住人>
「、えっ?!、、なんですか?!
あっ、、ハイッ、
705の神谷ですけど。。」
、と大変驚いた様子でした。
まあ、、無理もありません。。
実際にこの時、時計は24:00を回っていました。
<私、>
「驚かせてしまい大変申し訳ありません。
これから604号室のリフォームを担当する業者でございます。
こちらが604号室に入居予定の岩柳さんです。」
すると岩柳さんも、
<岩柳さん>
「本当に夜分にすみません。。
来月末に引越予定の604号室の岩柳です。。」
、と、弱々しいトーンで挨拶しました。
<神谷さん>
「でも、どうしたんですか?
もしかして毎日こうやって張り込んでたんですか?」
神谷さんはこんな夜中まで張り込みを続けている我々にかなり驚いていました。
そこで私は神谷さんに事情を説明しました。
少しずつ表情が落ち着いてきた神谷さんは、
<神谷さん>
「なるほど、理解出来ました!
それはお気の毒に。。
2カ月前に今の理事長に変わったんですよ。
それまでは全員分を取得しなくて良かったんです。
それってあくまでも努力目標ですからね。
なかなか全員分を取得なんてきびしいですから。」
<私、>
「そうですよね。
私も近隣承諾書の取得が絶対必須だなんてマンションは今まで聞いたことがありません。
ほとんどが工事前申請書を提出して承認をもらうだけのパターンですしね。」
<神谷さん>
「あの頑固な理事長にはまだお会いしてないですよね?
いやあ、、本当に頑固ジジイで変わり者で、、
短気で空気が読めなくて。。
本当にみんな困ってるんですよね。
本人はメチャクチャ張り切ってるんですけど完全に空回り。。
岩柳さん、、本当にお気の毒です。。」
私は背後でずっと黙ったままの岩柳さんが気になっていました。
チラッと後を振り返って見ると、
そこには肩を落として絶望感たっぷりの岩柳さんが呆然と立ち尽くしていました。
これ以上こんなマイナスな話しが神谷さんから繰り出されたら、、
また泣き出してしまうかもしれません。
ヤバイ!、、話題を変えないと。
私は神谷さんに言いました。
<私、>
「それではこれ以上遅くなってしまうといけませんので。。
早速ですが署名捺印をお願いしてもよろしいでしょうか?」
もちろんこの場で印鑑を持っているはずが無いので、
私たち3人は705号室まで行きました。
遂に8世帯全ての近隣承諾書が揃いました。
しかしタイムリミットは過ぎています。
明日、この最後705号室の近隣承諾書を届けなければなりません。
翌日は平日でしたが岩柳さんの仕事がたまたま休みということもあり、
一緒にこの書類を提出しにいくことになりました。
事件発生!絶対絶命のピンチ
翌日、私と岩柳さんは管理人室に行きました。
すると管理人さんが暗い表情で顔を出しました。
<私、>
「管理人さん!
ようやく最後の705号室の承諾書が取れました。
この書類はどうしたらよいでしょうか?」
するとしばらく間をおいてから、、
<管理人さん>
「トラジロウさん。。
本当に申し訳ありません。」
その管理人さんの重苦しい雰囲気にイヤな予感がしつつも、
<私、>
「えっ、?!
どうされたんですか?
先日は管理人さんの采配で全部そろっていないところ受理して頂いて。。
我々としては管理人さんには感謝しかありませんが。。」
すると管理人さんは机の上に置いてある書類を黙って指さしました。
そこには我々が先日提出した工事申請書関連の書類が無造作に置いてありました。
<私、>
「あれっ?!
これって5日前に提出した書類ですよね?
何でここにあるんでしょうか?
さすがに僅か5日で承認が下りたってことはないですよね?」
管理人さんの暗い表情とその書類を見た瞬間、、
何となく事態がのみこめた私は、
<私、>
「まっ、、まさか?!
せっかく管理人さんが回してくれたのに、、
705号室分が無いことがバレてその頑固理事長に返されたんですか?」
数秒間ほど沈黙したあと、
<管理人さん>
「、、ほんとに申し訳ない。。
、、そうなんです。。
理事長に回った段階で細かくチェックしたみたいで。。
一通足りないのになんで提出してるんだって。。
メチャクチャ怒っていて。。
さっき書類を突き返されてしまったんです。」
うわあ、、マジかよ。。
ホントに面倒くさいジジイだなあ。。
私は心の中でそう呟きましたが。。
しかし岩柳さんの前で暗い表情は出来ません。。
岩柳さんが不安でウツ状態になると夜中情緒不安定になり、、
荒れ狂ってまた娘さんに当たり散らしてしまうでしょう。
そうするとまた夜中に追い込まれた娘さんから無言電話がかかってきます。
まあ、、それはそれとして、、
本当に厳しい状況になってしまいました。
まさに絶対絶命のピンチです。
私はその理事長のところに行くことにしました。
おそらく理事長は烈火のごとく怒りまくることでしょう。
そして、
「ゴマかして書類を出すヤツに絶対承認などしない!」
とか言ってきそうです。。
まだその頑固理事長とは面識がありませんが、、
しかし今までの情報から推測するにそうなるに決まってます。
そうしたら岩柳さんのウツが最高潮に達してしまい、、
衝動的に思わず飛び降りたり、、
イカン!イカン!。。
俺だけは冷静でいないとダメだっ!
しかしこれだけ窮地に追い込まれると、、
最後は私もウツになってしまいそうです。
最近は時折り理由なく不安な気持ちで一杯になってしまう時もあり、、
特に朝のテンションがメチャクチャ低い私。。
これってオレもちょっとウツ状態?!。。
そうこうしているうちに理事長の居る305号室に到着しました。
次回>>第80話に続きます。
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