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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第91話からの続きです。

このリフォーム会社の管理職になって約半年ほど経過しました。

一方で業務過多に陥り自分の営業数字は最悪な状態。

このままでは降格および減給がほぼ確定してしまいます。

そんな中、柳沼主任が私に契約が確定している客を紹介してくれることに。

しかしその客に会った瞬間わたしは直感的に何らかの危機感を覚えました。




顧客登録の無い謎の新規客

柳沼主任から引き継ぐこの黒沢様ですが、、

芸術家風で何も語らず気難しそうなタイプでした。

われわれ住宅業界の営業マンは、


不適格顧客の排除


も常に念頭に置いていなければなりません。

新築住宅、リフォーム問わずこの仕事は


契約はあくまでもスタートライン


にすぎません。

契約してからが勝負ですし実際にいろいろと大変です。

なのでトラブルになりそうな客は避けなくてはなりません。

今まで私がこの会社に転職してきてから関わった客で、


トラブルになりそうな客


だと感じた人はほとんどいませんでした。

しかし今回ばかりはナゼか躊躇してしまう自分がいました。


何なんだろう、なぜか不安なんだけど。。


しかし柳沼主任が私のために契約が確定している客を譲ってくれるのに


危険なニオイがするからやっぱり柳沼主任が担当してくれ!


という訳にはいきません。

かといって、


本当にこの客がヤバイのか?


など現状ではわかりません。

ただ、、


何か危険な予感がするのです。


繰り返しにはなりますが、

柳沼主任が商談を重ねて請負金額500万円で契約が確定している客です。

それを最近絶不調な私に惜しげもなく譲ってくれようとしているわけです。

そんな柳沼主任の好意を踏みにじるわけにもいきません。。

柳沼主任いわく、この黒沢様という客は、

弊社のチラシを見て新規で電話問合せしてきた客とのことでした。


その後、私と柳沼主任は黒沢様の家のリビングに通されました。

そこで今までの打合せ内容や見積金額の確認などを行いました。

黒沢様は終始落ち着かない様子でした。

口数も少なく何か我々に対して疑念を持っているように感じました。

何とか契約日を3日後に設定して打合せを終えようとすると、


<黒沢様>
「ちょっと確認させてください。
この金額は御社の原価に相当する特別価格なんですよね?
本当に特別価格のままという認識でいいんですね?
これから追加なんて絶対に無いですよね?」


、と、無口な黒沢様でしたが、、

この時ばかりは強い口調で話してきました。


柳沼主任はこの客にどういうセールストークをしてるんだろう?


もちろんリフォームも含む住宅系の営業マンは、


今回はお客様だけ特別価格とさせて頂きました!


といったセールストークを使ったりします。

しかし今回の黒沢様の態度からすると少々普通では無い気がしました。


その後、営業所に戻った私はこの黒沢様の顧客登録情報を検索しました。

しかし、、

通常は最初に案件が発生した日や媒体などの情報が出て来るのですが、

この黒様様に関しては一切の情報が出て来ませんでした。

柳沼主任と顧客間に潜む闇

その3日後、

予定通り税込500万円で黒沢様は契約になりました。

先にも言ったとおり、住宅営業マンにとって


契約はあくまでもスタートライン


ではありますが、、

それにしても今回は契約完了した喜びが全く湧いてきませんでした。

お客様である黒沢様も、


何か押し殺したような、、


でも契約が決まってしまってるから仕方なく、、


といった感じで後味の悪い工事請負契約となりました。

そうはいっても、

自分の契約確定物件を私に譲ってくれた柳沼主任には感謝です。

営業マンはいつも営業数字に追われています。

特にこの会社は歩合給率が高いため営業数字は命です。

いくら私の降格・減給が目前に迫っている状態だとしても


契約が確定している自分の高額案件を譲る


というのはスゴイことです。

なので、私はお礼に柳沼主任をキャバクラに連れて行きました。

柳沼主任はあまり営業成績が良いタイプではありませんでした。

実家が資産家というわけでもありません。

しかしナゼかよく飲み歩いていました。

しかもキャバクラ好きで頻繁に通っていました。

もしかしたら株の投資など副業をいくつかやっているのかもしれません。

私はたまに柳沼主任に誘われてキャバクラに行くことがありました。

その時は全て柳沼主任がオゴッテくれました。

なので、


<柳沼主任>
「トラちゃんにキャバクラをオゴッテもらうなんて申し訳ない。
ホントに全然気にしなくっていいのに。。
正直、、オレって大型案件を監督するの苦手だし。。」


<私、>
「いやっ、、でもホントに助かりましたよ!
この500万の契約が無かったらマジで来月から減給になっちゃいますからね。」




そんなこんなで、、

お馴染みのキャバ嬢、花蓮と桜も同じテーブルについてその日は遅くまで盛り上がりました。

しかし、、

お酒がだいぶ進んでくると、、

またしても柳沼主任が


面倒くさいモード


に突入しました。


<柳沼主任>
「トラちゃんよお~、、
オレはホントにどうしようもない人間なんだよ!
オレはホントに、、」


うわっ?!、また始まったよ。。


<私、>
「何を言ってるんですか!
全然そんなことないですって、、
柳沼主任はオレのことを助けてくれたり、、
メチャクチャ正直モノだし、
営業所でも超人気者ですよ!」


一緒に席についていた花蓮と桜も、


<花蓮>
「そうだよ~!
ヤギさん面白いし、やさしいし、
ヤギさんってホントにイイ人だから大好き!
何でいつも酔っぱらうと自分のこと悪く言うの?」




結局、柳沼主任が自虐モードに突入したため、

飲み会はお開きにしました。




翌日、私は代休を取っていました。

昨晩はかなり飲んでしまったため、

昼過ぎまで起きれずに寝ていました。

すると、、

私の携帯電話が鳴りました。

長井所長からでした。

やむを得ず電話に出ると、


<長井所長>
「オイッ!トラジロウ!
昨日契約した黒沢さんって客から電話があって、、
やっぱり解約したいって言ってるぞ!」




私は眠気が一気に覚めました。




ずっとイヤな予感がしてたけど。。


解約したいって、いったいナゼ?!




次回>>第93話に続きます。

※ベンチャー企業奮闘記は毎週月曜日更新です!









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