こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第97話からの続きです。
前職を退職し、この会社に転職して約2年。
現在は所長代理という立場ではありますが。。
管理職は自分とチーム両方の営業数字を背負わなければなりません。
しかし実際はそれ以外にも数多くの仕事に追われ、
遂に私は降格と減給の一歩手前まで追い込まれていました。
優秀社員はコキ使われてダメ社員は楽できる?
長井所長から電話がかかってきました。
<長井所長>
「黒沢さんって客が解約したのに金返さね~って言ってるぞ!
これって先月500万で契約した客だよな?
オマエ最近成績悪いんだから解約なんて許さんぞ!
とにかく電話して早く行ってこい!」
うわっ、、マジかあ。。
超めんどくせ~ことになってきたなあ
現在私は5人の部下を抱えていました。
というか、もう一人伊澤課長がいましたが、、
彼はイロイロ問題があって部下を持たされないので、
彼以外の東京西営業所の所員全員が私の部下といった構図になっていました。
この会社はただでさえ離職率が高いのに、
新人が入っても長井所長が厳しいため、
ほとんど3カ月以内に辞めてしまいました。
そういったこともあり、
私はただでさえ忙しいところにもってきて、
新人に研修や同行をしたり、、
辞めた社員の後始末をしたり、、
柳沼主任のように問題のある社員もいたり、、
全く自分の営業数字どころではありませんでした。
伊澤課長は役職と手当てをもらっておきながら、、
しかし彼は超アクが強く暴力的で問題も多かったので、
担当課長といったカタチで部下を持っていませんでした。
なので実質的に営業所の部下を見ているのは私一人でした。
ようするに、、
長井所長はチームとは言ってますが、
実際は、
東京西営業所全員の数字はオマエがみろ!
というわけです。
本当は、
部下を持たずに自分の営業数字だけ
を追っていた方が楽です。
しかもそのほうが全然稼げます。
役職手当はそんなに大きな金額ではないので、
売上を伸ばして報奨金を稼ぐ方が年収は上がります。
しかし今更そうも言っていられません。
伊澤課長は人間的にかなり難がある人でした。
私も入社して半年くらいの時に彼と激しくぶつかりました。
それ以来、私を攻撃してくることは無くなりました。
ただしヨワイ人に対しては、
徹底的にイジメたりコキ使ったり
と最悪な人でした。
なので役職は課長でも部下を持つことは一度もありませんでした。
優秀で人間性もあって、、
という人は管理職にさせられて会社の歯車になり、
伊澤課長のように営業数字は良くても人間性に難があると部下を持たなくてよい。。
これは大変理不尽なことと思うのですが。。
結局、今から15年ほど前のこの当時は
多くの会社がこういった
優秀社員はコキ使われてダメ社員は楽する
という図式があったのでは?と思います。
黒沢邸解約で降格及び減給決定?!
余談が長くなってしまいましたが、、
黒沢邸の500万円の解約だけは阻止しなくてはなりません。
復習しますと、、
黒沢様は元柳沼主任のお客様です。
私があまりにも大変なことに同情したのか?
柳沼主任は契約が確定している黒沢様を私に譲ってくれたのです。
しかし、、
この黒沢様は以前柳沼主任が自分で工事を請けたお客様でした。
先日500万円で契約になったのも束の間、、
一転、解約したいと言われてしまいました。
しかし弊社では解約同意書にサインと捺印をもらわないと原則は解約できません。
なので既に振り込まれた契約金も返金することが出来ないのです。
しかし黒沢様は私に会いたくないのか、、
解約同意書のことは伝えましたが一方的に
「この振込口座に入金済みの契約金を返金しろ」
とメールをしてきたわけです。
私は柳沼主任と連絡がつかなかったので、
仕方なくしばらく放置していたところ、
遂に黒沢様は営業所に電話をしてきました。
ここ数日の間に、
柳沼主任が自分で工事を請けている顧客が多数発覚しはじめていました。
そういったことから、
もう柳沼主任とは連絡が取れない気がしていました。
柳沼さん、、何でこんな事に。。
私が新人の時を含めて彼には本当にお世話になっていたので、、
たとえ結果として彼が悪いことをしていても、
彼がいなくなってしまうのは残念だし寂しい気持ちで一杯でした。
その日の夕方、黒沢様とアポが取れた私は
車で現地に向かいました。
到着した私は車を家の前に横づけしました。
そしてインターフォンを鳴らしました。
ピンポーン!
するとすぐに黒沢様が出て来ました。
私の顔を正面から見ることもなく、
<黒沢様>
「中へ入りますか?」
、、とぶっきらぼうに話してきました。
<私、>
「ハイ、書類関係の記入や捺印などがありますので、、
出来れば上がらせて頂けますと。。」
<黒沢様>
「じゃあ、リビングでやりますか。。
入ってください。」
中へ入ると奥様も座っていて無表情な面持ちで私を見てきました。
今回は解約をするための必要書類を持ってきた訳です。
しかし、、
何としてでもこの解約を阻止しなければなりません。
黒沢邸が解約になると私は4カ月連続未達成となります。
その場合、役職手当も含めて減給が確定します。
ザックリですが給料が半分以下になってしまいます。
降格になるのは別にいいですが、、
収入が激減するのはメチャクチャ厳しいです。
わたしは黒沢様に話しかけました。
<私、>
「本日は貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございます。
弊社としては解約の理由をしっかりとお聞かせいただき、
さらに弊社規定の手続きをしなくてはいけないので、、
本当に煩わしい思いをさせてしまって申し訳ありません。」
その後も軽いトークを交えながら、、
少しずつ重苦しい雰囲気を和らげていきました。
10分ほど経過した時、、
黒沢様のご主人が私の目をシッカリと見て、
<黒沢様>
「真山さんは柳沼さんと一緒ですごく話しやすい人ですね。
本当はリフォームはやりたいんです。。
でも、、ちょっと、、
何と言いますか。。」
今までの会話の流れや黒沢様の話し方や表情で
私は何となく一筋の光を見出していました。
<私、>
「黒沢様!
柳沼の件では本当に気を使わせてしまい大変申し訳ありません。。
実は、、柳沼は退職する運びとなりました。」
突然の私の言葉に黒沢様の顔色が変わりました。
<私、>
「いや、、ご心配なさらないでください。
柳沼はお客様評価が高く私も大好きな部下でした。
しかし彼は家庭の複雑な事情を抱えて常に悩んでおりました。
そういったこともあってかは分かりませんが、、
彼は会社に内緒で自らリフォームを請けていました。」
すると黒沢夫婦は黙って下を向き一点を見つめました。
<私、>
「これはお客様には一切関係の無いことです!
逆にご心配をおかけして大変申し訳なく思っております。
しかし柳沼に関しては社内的に罰則を受けることになってしまいました。」
変らず下を向いて黙ったままの黒沢ご夫婦。
この夫婦、実はすごくイイ人なんだろうなあ
<私、>
「黒沢様、柳沼が以前リフォームさせて頂いたことは存じております。
ただし黒沢様には何の問題もございません。
黒沢様は私としても部下の柳沼が担当した大切なお客様であることに変わりはございません!
なので金額も柳沼価格のままでやらせて頂く所存です!
今までの経緯などお聞かせいただけないでしょうか?」
依然として黒沢夫妻はジッと黙り込んだまま、
変らず床の一点を見つめていました。
何とか解約だけは避けたい私。。
次回>>第99話に続きます。
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