こんにちわ。トラジロウです!
前回>>第53話からの続きです。
何とか転職せずこのベンチャー企業に踏み留まる決意をした私。
しかし孫娘と店長が手をつなぎ歩く衝撃的なシーンが頭から離れず、、
あれから数日間経過しても何の意欲も湧かず無気力状態でした。
しかし誰にもそんな話しは出来ないし知られたくもありません。
私はそんな感情を悟られないように必死で平静を装っていました。
遂に訪れた松本邸工事請負契約締結日
もちろんその後も孫娘から連絡はありません。
大変情けない話しですが、、
私はそのショックから未だに立ち直れず、、
日々頭に浮かんでくる孫娘の幻と闘っていました。
そんな中、松本父様が無事退院し、いよいよ本契約締結の運びとなりました。
私は深野係長と一緒に車で松本邸に向かいました。
<深野係長>
「いや~、、でもホントに長かったよね。
せっかく苦労して月末ギリギリに仮契約まで持っていったのに、、
これで本契約にならず未達成で終ってたらやり切れないよな!」
<私、>
「ホントにそう思います。
しかし社長も総務部長も末端の社員から直接ヒアリングをするなんてスゴイと思いました!
ブッチャケ言うと、、
もう退職して転職する意向が固まっていたんです。。」
<深野係長>
「えっ、、!?
トラちゃん会社辞めるつもりだったの?」
<私、>
「そうなんです。
もう、、さすがに限界でしたからね。。
精神的にも金銭的にも、、
基本給15万じゃあ大型案件の歩合給が無ければとてもやっていけません。。
でも社長と総務部長と直接話せたことで考えが変わりました。
こんなスゴイ人たちが執行部にいるのであればもう少し頑張ってみようって。」
そんな他愛もない話しを深野係長としていました。
しかし私も深野係長も少々ホッとしてしまったこともあり、
契約書や仕様書、見積書の最終確認などをあまりしていませんでした。
<深野係長>
「松本さんはトラちゃんをすごく信頼してるね。
だから工事請負契約は無事に締結されると思うけど。。
トラちゃんは改装工事の見積書作成に慣れて無いと思うからオレが書き替えておいたよ!
昨日トラちゃんの机の上に置いといたけど見てくれた?」
<私、>
「すみません。正直ほとんど見ていません。。
でも合計金額の2800万円が変わっていなければ問題無いと思います。
まあ、、松本さんはホントに信頼をしてくれてますからね!」
そうこうしているうちに松本邸の家の前に到着しました。
そして車を停めて松本邸のインターフォンを鳴らしました。
ピンポーン!
<松本息子>
「トラジロウさんと深野さん!
お待ちしておりました。
玄関開いてますのでそのままお上がり下さい。」
ということで私と深野係長は中へと入っていきました。
いつも通り応接室の中に通されました。
そして場が整ったことを確認した私は、
<私、>
「本日、いよいよ工事請負契約締結となります。
お父様も無事退院されまして何よりでございます。
金額等は仮契約の段階で全てフィックスしております。
本日は改めて復習も兼ねてまずは見積書を読み上げながらのご説明を行います。
そちらが完了しまして問題無ければ本契約へと移行させて頂きます。」
<松本息子>
「まことに恐縮です。
本来でしたら先月末で契約出来たところ父の入院で10日も遅れてしまいまして、、
本日工事請負契約を締結させて頂いたら後は信頼してお任せします。」
といった具合で順調な滑り出しとなりました。
わずかな緩みから生じた致命的ミス
工事請負契約時の一般的な流れを超ザックリと説明します。
まずは見積書を最初から読み上げながら工事項目や金額を確認していきます。
さらに仕様書も平行して説明・確認していきます。
そして最後に見積書の合計金額を読み上げます。
工事請負契約書に見積書と同じ金額が正しく記載されているか確認します。
特に問題が無ければいよいよ契約書にサインと捺印を行います。
ということで私は見積書を読み上げていきました。
<私、>
「それでは見積書の1ページ目から順にご説明をしていきます。
最初に1番の解体工事の項目からいきます。
玄関ドア解体撤去搬出、、
既存浴室浴槽解体撤去、、
~ 中略 ~
次に2番の大工造作工事に関する項目に移ります。
和室押入れ部分下地造作工事、、、」
、といった感じで順調に進行していきました。
そして最後の住宅設備品の項目に入りました。
<私、>
「項目14番ですが、
洗面化粧台キラリクリーン1200サイズカウンタータイプ、、
システムキッチンプレシャスコンフォート2550サイズ、、」
キッチンの商品名を読み上げたあと、
私はあることに気付いて愕然としました。
なんと!、、
キッチンの数量が間違えて2セットと記載されていました。
すかさず松本息子様が声を上げました。
<松本息子>
「あれっ?!
これ、、キッチンの数量が間違ってますよね?
1セットなのに2セットになってますよ!
これは1セット分の金額が減額になりますよね?
キッチンだけは母がこだわって絶対にプレシャスコンフォートにしたいって譲らなかったんですよ!
でも1セット220万円と高額なのでスゴク悩んだんです。。
でもこれが1セットに修正されれば工事請負金額合計2800万円が2580万円になるわけですよね?
いや~、、助かります!
実はちょっと予算オーバーだったんで。。
これで家具や照明、カーテンなど他にかかる費用も賄えます!
オヤジ!オフクロ!良かったね!」
私も深野係長も凍り付いたようにカタマッってしまいました。
ヤバイ、、なんでこんなミスしてんだ!?
これじゃあ歩合がブッ飛んでタダ働きになってしまう。。
住宅業界の見積りと報奨金の仕組み
このエッセイの読者様で住宅業界以外の人もいると思うので、
ここでザックリと解説をします。
(あくまでも超ザックリです(^^;))
新築や高額リフォーム工事の見積書作成に関してですが、
まずは最初に原価を積算します。
簡単に例をあげますと、
➀大工さん30万円
➁設備屋さん20万円
➂内装屋さん10万円
➃石膏ボード、柱、木桟など材料代10万円
➄住宅設備品(トイレ、洗面台など)20万円)
➅ゴミ代他雑費用10万円
➀~➅の原価合計100万円
これに会社で設定している利益率をかけます。
一般的にリフォームの場合は単純粗利最低30%以上を設定します。
なので、
原価100万円 ÷ 0.7(利益率30%なので)
よって客出し見積書の合計金額は
¥1,428,571-
となります。
あとはこの1,428,571円になるように見積書の項目に金額を割振ってツジツマを合わせていきます。
このやり方が一番オーソドックスな積算方法です。
なので7~8割のリフォーム会社がこのように
必要原価算出後に規定の利益率を掛けて見積書金額を決定
という流れで客出し見積り金額を算出します。
少し解説が長くなりましたが、、
ここをザックリでも理解してないと今回54話の意味がわからないと思うので記載しました。
今回のミスは深野係長が見積書の項目をいろいろと書き替えたことで勃発してしまいました。
何か勘違いしてキッチンの数量を2セットと打ち替えてしまったのです。
一つ下の項目である水栓金具の数量と勘違いしてしまったと思われます。
(キッチンの水栓は2セットなのに1セットになってしまっていたため)
しかも運悪く高級キッチンのため1セット220万円ものシロモノです。
数量ミスによりキッチンだけで440万円になってしまっていました。
しかし先に説明したとおり見積書金額は2800万円と決まっているわけです。
そのため他の項目が相当安く削られていました。
もしも松本息子様の要望どおり、
工事請負金額を2580万円に減額修正して契約した場合、
2800万円だったら利益率30%なところ、
2580万円だと利益率24%となり、
すでに規定粗利率を6%も下回っていることになります。
住宅業界の営業マンは歩合給(報奨金制度)の会社が多いです。
我が社はその最前線にいる会社ですから基本給が低い分歩合給が全てです。
しかし弊社の規定で
契約時粗利率から8%ダウンした場合は歩合給はカットとなります。
もしも今回2580万円に減額修正して契約となれば
現段階で粗利率24%と6%ダウンとなってしまう訳です。
あとわずか2%利益率が下がれば私も深野係長もこの松本邸の歩合給は一切もらえないということです。
余談ですが仮に粗利率30%で完了した場合の歩合は私と深野係長それぞれ120万円ほどです。
これだけ難しい案件ですから間違いなく最終利益率は下がります。
あと2%しか余裕が無い訳ですから何か想定外の費用(原価)がかかったらアウトです。
しかしこのまま2800万円で契約してくださいなどと言えるわけもなく。。
そうは言ってもタダ働きでこんな超難物件など絶対にやれません。。
絶対絶命の大ピンチに追い込まれた私。。
次回>>第55話に続きます。
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