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こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第66話からの続きです。

現場に入る職人が確保できず苦戦していましたが、、

なんと中山工務店社長自ら現場に入ってくれることになりました。

今までメインでやっていた【新築そっくりさん】の仕事を断ってまで。。

さらに横浜の現場から大工の一郎さんをうまく調整して引っ張ってきました。

これで社長、源さん、一郎さんと3人の大工が揃いました。

またしても私はギリギリの状態から息を吹き返すことが出来ました。




営業所会議に中山君登場?!

その後、会社に戻った私は長井所長に報告しました。


<私、>
「長井所長!何とか松本邸の職人を確保しました。
なのでギリギリで7月末引渡し出来そうです。」


すると無表情のまま私をホメることもなく、


<長井所長>
「そうか、わかった。
その工務店を今夜の営業所会議に呼べないか?
住友不動産の【新築そっくりさん】をやってる業者だろ?
今後ウチで大型案件がある時に頼めるじゃね~か。
トラジロウ!すぐに段取りしろ!」




「わかった」、、じゃね~よ!


ネギライの言葉の一つもね~のかよ?!


やっぱこういう上司って最低だわ。。




ようやく新人期間を抜けた私が自ら工務店を調達してきたというのに。。

長井所長の「愛」の無い対応にガッカリしてしまいました。

しかしそうも言ってられないので、、

さっそく中山君に電話をしました。

繋がりませんでしたが数分後に折り返しかかってきました。


<中山>
「オイッ!なんだよトラジロウ!
仕事中だぞ!
何かあったのか?」


<私、>
「いやっ、ゴメンゴメン。。
実は営業所長が今夜の会議にぜひ中山工務店を呼んでくれって言われて。」


<中山>
「えっ?!、、今日、、?
オヤジは今夜千葉に行ってるぞ!
オマエんところの夜会議に参加なんて無理だ!」


<私、>
「じゃあ中山君が来てよ!
所長がぜひ呼んでくれってウルサイんだよ!
次期中山工務店社長だろ!頼むよ!」




ということで、

その夜の東京西営業所会議に中山君が参加してくれることになりました。

元請けにも媚びない中山工務店

その夜、営業所会議が行われました。

19:30からのスタートでしたが、、

中山君は仕事が終わらず営業会議終盤の21:00頃到着しました。

会議は相変わらず重苦しいイヤな雰囲気で進行していました。

私の超大型案件松本邸を契約した3月のみ達成しましたが。。

先月も今月も東京西営業所は苦戦を強いられていました。

中山君が到着したため営業数字などの話しは中断し、


<長井所長>
「みんな!今日は中山工務店さんを紹介する!
トラジロウの知り合いで松本邸に入ってくれる工務店さんだ!
住友不動産の【新築そっくりさん】のメイン業者だ。
だからすごく頼りになる業者さんだ!
これから大型案件がある場合は相談出来る!
中山さん!
ココに立ってもらって自己紹介をお願いします!」


中山君は一切表情を変えることなく、

言われる通り全員の前に立つと、


<中山>
「あっ、どうも。
中山工務店の中山です。」


と短く答えました。

あまりにもぶっきら棒な態度と短いセリフに、


<長井所長>
「中山さん。。
、もう少し、、その、、
住友不動産の【新築そっくりさん】での工事エピソードとか。。
どういった工事が得意とか、、
もう少し何か話してもらえないかなあ。。」


しかし中山君は一切態度を変えずクールな表情のまま


<中山>
「いや、、特に自慢できることはないです。
ただ、請けた仕事はキッチリやります。
、、っていうかやると思います。
今日、オレは代理で来ただけで会社員なんで。
ヤルのはオヤジだから。」




少し困惑した長井所長は、


<長井所長>
「、、あっ、そうだ!
じゃあ、トラジロウとの関係は?
今回はトラジロウのツテで工事を請けてもらうことになったんですよね?」




うっ、、ヤバイ。。




中山君とは日建学院(一級建築士資格学校)のクラスメートです。

しかし日建学院(一級建築士資格学校)に通っていることは内緒にしています。

その理由は、特に長井所長にバレた場合、


「そんなコトしてるヒマがあるなら営業数字をあげろ!」


、と目の敵にされるのがわかっていたからです。

なのでその時の私はものすごい緊張感が走りました。


中山君に口止めしとくんだった。。


しかし中山君は、




<中山>
「ただの友達です。」




あくまでも表情を変えずに一言で言い放ちました。


<長井所長>
「えっ、、何の友達なんですか?
、、まあ、いいや。。
とにかくお願いしますね!」


普段こんなに邪険に扱われることのない長井所長は動揺の色を隠せませんでした。

しかし救世主の中山工務店に文句を言う訳にもいかず、、


結局、中山君は多くを語らぬまま東京西営業所を後にしました。


日建学院(一級建築士資格学校)に通っていることがバレずにすんだ私は、


マジ焦った。。中山君の無口さに助けられた。。


、と心の中でホッと呟きました。

父の心を動かした息子の言葉

翌日の日建学院(一級建築士資格学校)の授業が終わったあと、

いつものジョナサンで松本邸の打合せをしていました。


<私、>
「昨日はありがとう、、
っていうか中山君ってホントにいつも通りの人なんだね。」


<中山>
「んっ、、まあ、、
あんなに大げさにみんなの前に立たされたって、、
特に話すことなんてね~よ!
オレは営業じゃね~!
請けた仕事を着実にコナスだけだ!」


<私、>
「オレとしては日建学院(一級建築士資格学校)に通ってることがバレると面倒くさかったんで。。
中山君の無口さに助けらたよ。」


<中山>
「日建学院(一級建築士資格学校)に通ってて何が悪い?!
会社としては自分のトコの社員が自腹で自主的に通ってくれてんだからむしろ感謝すべきだろ!」


<私、>
「、イヤッ、まあ、、確かにそうなんだけど。。
でも普通は「もっと営業数字に集中しろ!」とかなるんだよ。。
長井所長が中山君みたいな考え方ならいいんだけど。。」




そんな他愛もない話しをしていました。


しばらくして、、


<中山>
「でも一つ不思議なことがある。
なぜオヤジはトラジロウの案件を無理して請けたんだろ?
今回の松本邸の請負金額1450万はぶっちゃけ安い!
しかも住友不動産の【新築そっくりさん】と違って大型案件を継続して請けれるわけでもない。
なのにそれを断ってまで。。」




中山君が言うには、

父の中山社長は仕事はキッチリと高品質でおさめるが、

一方でおカネには大変厳しい人だということでした。




その2日後、私は業務発注依頼書を持って中山工務店を訪れました。


<私、>
「中山社長!
この度はいろいろとご無理して頂き大変ありがとうございます。
本日は弊社で発行しました業務発注依頼書をお持ちしました。」


この業務発注依頼書とは工事を請けてもらう業者に対して発行する書類です。

今回は打合せした金額1450万円が印字されています。

大型工事でメインの大工工事等の場合、

細かいところまで積算をしてキッチリ決めることは出来ません。

なのでザックリお互いに金額を決定して基本はその金額でやりますという確約書類です。

中山君は中山社長のことを「金の亡者」のように言っていましたが、、


中山社長は一切文句も言わずその書類を受け取りました。


そして一言、




「松本邸はキッチリ納めますので安心してください!」




私はどうしても聞きたかったことを聞いてみました。


<私、>
「中山社長!、一つだけ教えてください。
なぜ今回条件の悪い弊社の案件を無理して請けてくれたんでしょうか?
住友不動産の【新築そっくりさん】の案件を断ってまで。。」




しばらく中山社長はジッと私を見つめていました。

そしてゆっくり微笑みながら、




<中山社長>
「それは太一(中山君の名前)の唯一の友達だからです」




<私、>
「中山君の唯一の友達っていうのは。。?」


<中山社長>
「アイツはご覧のとおりトガッってて近寄りづらいタイプです。
だから子供の頃から「親友」のような人もいないし、、
自分の友達の話しなんて聞いたことがなかったんです。」


<私、>
「まあ、、正直わからないでもないですね。。」


<中山社長>
「そんな太一が、、
友達が困ってるから助けてやりたいって言ったんです。
アイツの口から「友達」っていう言葉を聞いたのは初めてです。
これがこの仕事を請けた最大の理由です!」




私は内心驚きを隠せませんでした。


全く予期していない答えでしたが、、

しかしすごくシックリくる理由だとも感じました。

でもこの事は私の心に秘めておこうと決めました。


中山君の性格を考えると言わない方がよい空気感を感じたからです。


ただしまだ現場はこれからです。

気を引き締めていかなくてはなりません。

次回>>第68話に続きます。

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