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 こんにちわ。トラジロウです!

前回>>第➉話からの続きです。

大手ハウスメーカーを退職し、この住宅リフォーム系ベンチャー企業へ転職してもうすぐ5か月です。。

パワハラ所長のもと、悪戦苦闘の日々は相変わらず続いています。

そんな中、謎の女性客が東京西営業所へ私を訪ねてきたという連絡を受けました。

そのため私は急いで東京西営業所へ戻っていました。


若い女性客って、、いったい誰なんだろう?




昼下がりの訪問客

営業所に戻った私は、事務の杉崎さんに


<私、>
「ただいま帰りました!
私を訪ねてこられた女性のお客様はどちらですか?」


<杉崎事務員>
「あちらの窓際の席に座ってます。
ちょっとここからだと見えませんけど。。」


ということで、、


私は窓際の席のほうに歩いて行きました。

すると、髪の長い若い女性が座って本を読んでいました。

私はその女性客に声をかけました。


<私、>
「お待たせ致しました。
本日はわざわざお越し頂きありがとうございます。
トラジロウと申します。」




こちらを見上げたその女性客は静かに立ちあがり軽く微笑みながら




<女性客>
「いつも石井敬三がお世話になっております。
わたし石井敬三の家族のモノです。」




そう言ってスッと立ちあがったその女性客の容姿に私は圧倒されました。




うわッ、、すげえ顔小さくてモデルみたいだけど。。







<私、>
「ああッ、、石井敬三様のご家族の方でらっしゃいましたか!?
こちらこそ石井様には大変お世話になっております。」




やっぱりそうだよな、、

石井さんってあの仙人ジイさんしかいないもんな。。

でも「家族のモノ」って、、

娘さん?お孫さん?まさか、、奥さん??




私の頭の中はパニック状態でした。。

とりあえず私は事務の杉崎さんのところに戻って


<私、>
「杉崎さん、石井様にコーヒー出してくれますか?
やっぱり仙人ジイさんの家族の人だそうです。」


<杉崎さん>
「え~、、ほんとですか??
小顔で背が高くてモデルさんみたいじゃないですか?
芸能人オーラ満載ですごく気になるんですけど。。
なんかテレビで見たことがあるような。。」


<私、>
「え~ッ!、まさかモデル?芸能人?!
確かに一般人にはないオーラがありますよね?
何かすごく色っぽいし、、
仙人ジイさんとの関係がスゴク気になるんですけど。。」


しかし、あまり杉崎さんと雑談しているヒマもないので、すぐに女性客の席に戻りました。


そして私が席につくとその女性客はゆっくりと話し始めました。


<女性客>
「お忙しいところ大変申し訳ありません。。
石井には内緒で来ていますので、、
どうか私がここに来てトラジロウさんとお話しをしたことは石井には言わないでください。」

仙人ジイさんと妙齢の美女

この会社に転職してきてからもそうですが、、

退職した大手企業在籍時も含めてお客さんが直接自分の会社に訪問してくるということはほとんどありませんでした。

しかもこんなモデルのような魅惑の美女。。

そもそも仙人ジイさん自体もかなり不思議な人ですが、、


戸惑う私を前に女性客は話を続けました。


<女性客>
「いつも石井はトラジロウさんが来るのを楽しみにしています。
ちょっと質問なんですが、、
いつも迎えに来て下さってますけど、、
いったいどこで打合せをしているのでしょうか?」


<私、>
「いつも石井さんがご指定のジョナサンで打合せをさせて頂いてます。」


<女性客>
「えっ!!、ジョナサンって、、
私たちの家から1キロ近くある大通り沿いのジョナサンですか?」


<私、>
「ええ、そうです。
そのジョナサンです。」


そう伝えると、その女性客はしばらく言葉を詰まらせて黙ってしまいました。


さらに瞳を潤ませて今にも泣き出すのではないかという表情のまま一点を見つめていました。




なんなんだろう。。ジョナサンに何か問題でもあるのか?


オレが美女を泣かせているように見られるからヤメてほしいんだけど。。




しばらく経った後、少し落ち着きを取り戻した女性客は、


<女性客>
「ホントにすみません。。でも、、
石井はズッと元気がなくて家でもほとんど話しをしなかったんですけど、、
最近トラジロウさんとの打合せが始まってからはすごく明るくなって私と話しもするようになったんです。
本当にありがとうございます。
でも、、どこで何を打合せしているのか全くわからなくて、、
私が余計な事を言ってまた以前のように抜け殻のような状態に戻ってしまったらいけないと思い、、
石井に内緒で直接トラジロウさんに会いに来てしまったんです。。」


<私、>
「そうですか。。
しかし私はごらんのとおり住宅リフォームの営業マンです。
石井敬三様に関しましては弊社とのリフォーム工事の具体的な計画が明確にならないと今後の打合せは正直きびしいです。
しかし実際ここ5回ほどジョナサンで打合せをさせて頂いておりますが、、
具体的にリフォーム工事の見積もりが出来る状態にはなっていません。。
石井敬三様が弊社でリフォーム工事をする可能性はあるのでしょうか?」




今まで5回も打合せをしているにもかかわらず、その豪邸の敷地内に一歩も足を踏み入れたことがありません。

なので、これ以上仙人ジイさんに関わってよいのかどうか、、

私はその女性客にズバリ聞いてみました。




<女性客>

「、、本当に、、すみません。。」




思いつめた表情で言葉を詰まらせてしまいしばし沈黙が流れました。




でも、、この女性はなぜ自分の身分を明かさないんだろう。。


石井さんすごい豪邸に住んでるし何か根が深い問題があるんだろうか。。

美しき謎の女性客の正体とは?

その後もその妙齢の美女との不思議な面談は続きました。

仙人ジイさんとの詳細な関係も解らぬまま気が付けば一時間近く話しをしていました。

しかし、もし仮にその女性客に


仙人ジイさんは具体的なリフォームの話しが無いからもうこれ以上相手に出来ない


と言ったらその女性客を傷つけてしまうのが明白なためかなり言葉を選んで話しをしていました。

しかし仙人ジイさんはリフォーム工事を受注出来るようなまともなお客様では無いこともわかっていました。。


満を持して私は謎の女性客に切り出しました。


<私、>
「私はこの会社に転職してきてまだわずか5か月の新人です。
しかし前職は大手ハウスメーカーであらゆる技術職を経験しました。
いろいろ思うところがあり意を決して前職を退職して今ここにおります。
石井敬三様はそんな私の話しも含めてすごく楽しんで聞いておられます。
しかし先ほどもお話しした通り石井敬三様とリフォーム工事契約に至る可能性はおそらく無いと思います。
立場上私も営業会議で石井様の商談状況を報告せざる負えないため大変厳しい状態です。。」




女性客はしばらくの間ジッと私を見つめていましたが、




<女性客>
「トラジロウさん、、本当にご迷惑かけて申し訳ありません。。
私、、いつもインターフォン越しでしかお話しさせて頂いてないですが、、
そのわずかな短いやり取りだけでもトラジロウさんのお人柄といいますか、、
包容力のある優しくて純粋なところはすごく伝わってきました。
だからずっと抜け殻のようだった石井も最近は生気を取り戻したんだと思っております。」




そうか、、あのインターフォン越しにいつも対応してくれる若い女性の声はこの人だったんだ!




5回訪問して5回ともこの女性が出たけど、、

まさか、、あの豪邸に仙人ジイさんとこの女性しか住んでないってことは無いよな?!

そんなことを考えていると、、


<女性客>
「トラジロウさん、、
リフォーム工事が無いということはありません。大きい家ですから直したいところは一杯あります。
そこで一つお願いがあります。
石井といつも打合せをしてもらっているジョナサンに一緒に行ってもらえませんでしょうか?」




<私、>
「、、、。。。」




いったい何なんだろう。。


、ていうか、、この女性いったい何者なんだろう。。




次回私はこの謎の女性客と一緒に仙人ジイさんといつも打合せしているジョナサンに行きます。


そして遂にこの妙齢の美女の正体が明らかになります!


ベンチャー企業奮闘記>>第12話に続きます。

※ベンチャー企業奮闘記は毎週日曜日更新です




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